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第33章 梨果の引っ越し

1月下旬の日曜日、梨果の引っ越しの日がやってきた。
車を所有しない私の代わりに写真館の真田氏が車を出してくれた。

彼はあの騒動後も何かと私に協力してくれて今回も梨果への罪滅ぼしということで自ら手を挙げてくれた。

「梨果ちゃん、その節は申し訳なかった。大人として最低だった。許させるとは思わないがこのとおりだ。」

梨果と対面した真田氏は深々と頭を下げて謝罪した。

「……」

梨果はしばらく彼を警戒していたようだが、元同級生の娘も連れて来たので彼女が服や下着類など男性が触れられない荷造りを手伝ってくれた。
明るい父娘で梨果も少しずつ打ち解けていった。

施設にあった荷物はわずかでバッグ一つに収まった。職員に挨拶し次に梨果の自宅に向かう。

父親は梨果との接触が禁じられているので、事前に講師には外出してもらう段取りをとっていた。