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わたしの日常
第16章 S川さんたちと再会した日のこと【義父目線】(1)
 「お済みですか」

 S川さんの声が聞こえ、体を起こす。衝立の向こうを除くと二人とも方から浴衣を羽織って座っている。私は急いで枕元のチリ紙で己の一物のぬめりを拭った。悦子もゆるゆると手を伸ばしてチリ紙を取ると割れ目を拭っている。

 「こちらにいらっしゃいませんか。よろしければ礼子をお預けしたいのですが」

 S川さんの言葉に応じるように、礼子さんが会釈をする。

 「よろしくお願いします」

 丁寧にお辞儀をされて、わたしも浴衣に袖を通して前を合わせる。

 「こちらこそ…」

 そう言って振り返ると悦子も体を起こして浴衣を羽織っている。

 「いいかい? 悦子…」

 悦子が頷く。覚悟はできているようだ。二人の男が衝立を回り込むように居場所を交換して新たな『夫婦』が成立した。

 目の前の礼子さんの裸体に、否応なく視線が引き寄せられる。白い肌、尖った乳首、息づかい…すべてが艶やかだった。だが、私の意識はどうしても、衝立の向こうへと引き戻される。悦子も、礼子さんと同じように、肌を晒しているのだ…。

 「お気に召して頂けるか分かりませんが…。わたしはうれしいです…」

 礼子さんの声がして我に返った。

 「こ、これは失敬…」

 詫びる言葉が口を衝いて出た。

 「いえ…いいんです。無理もありません。こちらこそこんなことをお願いしてしまって…」
 「すみません…。慣れぬこととはいえ、不作法なことで」
 「作法なんてありませんのよ。思うがまま、お好きになさってください。わたし、本当に楽しみにしていたんです」
 「それは、こちらも同じです」
 「ご挨拶…させてください」
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