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わたしの日常
第4章 S川さんとの交流

「『わりない仲』だそうですね」
「夫婦ではないと話していたからね」
「まあ、もっと言えば『義父とその嫁』だと睨んでいる訳だが」
「では、わたし達も『わりない仲』ですね」
「『奥様』をモデルにして写真を撮りたいそうだよ」
「綺麗に撮ってはいただきましたけど、社交辞令ですよ。本当に『奥様』だなんて思っていらっしゃるのかしら」
「『お連れ様』と書くわけにもいかなかったのだろう。送ってくれた写真のほかにもいろいろ撮ったことだろうね。なにせ、自分で現像しているというのだから」
「お義父さんもカメラの腕前を見込まれましたね」
「それこそ社交辞令だよ。でも、自分でシャッターを切る限りいろいろ制約もあるから、誰かに撮ってもらったらありがたい、ということなのだろうね」
旅先で『わりない仲』の男女が誰かに撮ってもらう写真…。まぐわうふたりにカメラを向ける義父…そんな想像をしてしまった。もちろん、その逆も…。
義父が両手を組んで頭の後ろにあてている。何か思いに耽るときの義父のくせ。同じ様なことを考えているのだろうか。
「私たちの写真も送ってくれたことだし、こちらからも礼状を出さないといけないね」
「そうですね」
「私たちも『わりない仲』だということは書いてしまおうか」
「いいかもしれませんね…。いつまでも『奥様』というのもなんだかおかしいでしょうし」
「いっそのこと『義父と嫁』と書いてしまおうか…」
「それはちょっと…」
「まあ、馬鹿正直に書く義理はないのだが、別に二人の関係のことまではお互い知らないわけだし」
「義父と嫁が温泉に一泊するのはおかしいことでもないと…」
「…それもそうだね。一泊しておいてそういうこともないというのも大人気ないといえばそうだ。湯船でも似た者同士のような妙な連帯感があったことは確かなのだし」
「わたしも先方のお連れさん…『れいこ』さんでしたか。そんな感じを持ちました」
「先方の浴衣姿の写真…よく撮れているね」
「雰囲気も含めて…」
「悦子もそう思ったかい。『雰囲気』が伝わってくる写真だね。向こうはそのあたりも含めてこの写真を送ったのかもしれないが…。もどかしいものだね…正直に話せないというのも」
「そうですね」
「まあ、よく考えて返事を出すことにしよう」
「夫婦ではないと話していたからね」
「まあ、もっと言えば『義父とその嫁』だと睨んでいる訳だが」
「では、わたし達も『わりない仲』ですね」
「『奥様』をモデルにして写真を撮りたいそうだよ」
「綺麗に撮ってはいただきましたけど、社交辞令ですよ。本当に『奥様』だなんて思っていらっしゃるのかしら」
「『お連れ様』と書くわけにもいかなかったのだろう。送ってくれた写真のほかにもいろいろ撮ったことだろうね。なにせ、自分で現像しているというのだから」
「お義父さんもカメラの腕前を見込まれましたね」
「それこそ社交辞令だよ。でも、自分でシャッターを切る限りいろいろ制約もあるから、誰かに撮ってもらったらありがたい、ということなのだろうね」
旅先で『わりない仲』の男女が誰かに撮ってもらう写真…。まぐわうふたりにカメラを向ける義父…そんな想像をしてしまった。もちろん、その逆も…。
義父が両手を組んで頭の後ろにあてている。何か思いに耽るときの義父のくせ。同じ様なことを考えているのだろうか。
「私たちの写真も送ってくれたことだし、こちらからも礼状を出さないといけないね」
「そうですね」
「私たちも『わりない仲』だということは書いてしまおうか」
「いいかもしれませんね…。いつまでも『奥様』というのもなんだかおかしいでしょうし」
「いっそのこと『義父と嫁』と書いてしまおうか…」
「それはちょっと…」
「まあ、馬鹿正直に書く義理はないのだが、別に二人の関係のことまではお互い知らないわけだし」
「義父と嫁が温泉に一泊するのはおかしいことでもないと…」
「…それもそうだね。一泊しておいてそういうこともないというのも大人気ないといえばそうだ。湯船でも似た者同士のような妙な連帯感があったことは確かなのだし」
「わたしも先方のお連れさん…『れいこ』さんでしたか。そんな感じを持ちました」
「先方の浴衣姿の写真…よく撮れているね」
「雰囲気も含めて…」
「悦子もそう思ったかい。『雰囲気』が伝わってくる写真だね。向こうはそのあたりも含めてこの写真を送ったのかもしれないが…。もどかしいものだね…正直に話せないというのも」
「そうですね」
「まあ、よく考えて返事を出すことにしよう」

