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微熱に疼く慕情
第2章 【動き出す熱情】





此処、何処だろう……
「来て」と言われて後ろについて行く
いざという時の為に携帯は録音モード
打ちっぱなしコンクリートな造りのお洒落なビル
エレベーターではなく階段で2階へ上がってくれたのは有り難いが、警戒心を紐解こうとしているのはバレバレだ



出された珈琲も口をつけない
ソファーに向かい合わせで座り、すぐに逃げれるよう浅く腰掛ける



「あの、私、明島さんに言われたからあなたと会ったわけで…」


「ごめんね、怖がらせちゃって、あの後ずっと考えてた……仕事も手につかないくらい……だから明島さんにお願いして……どうか、許して欲しい、この通りだ」



立ち上がって90度に腰を曲げる黒崎さんに思わず私も立ち上がる



「やめてください、そんなつもりじゃ…」


「充分、傷つけたと思う、すまない」


「あの、頭、上げてください」



そう言ったのに、今度は真横に来て土下座してきたの
私もしゃがんで、どうにか頭を上げてもらう



「許してくれるまで上げれない…」


「もう良いですから、本当に……」


「首も絞めたんだ、殴ってくれ」


「む、無理です、暴力が解決するとは思えません」


「じゃ、一緒に警察署まで…」


「本当に良いですから…!二度としないって約束してくれるなら」


「約束する、署名もするよ、信じて欲しい」



必死に懇願する姿は私の心にゆっくり浸透していく
ガードが緩くなる……
警察沙汰なんて、明島さんにどれだけ迷惑が掛かるか
それに、事細かく事情を話さなくてはならないし
私が耐えれそうにない
明らかなのは、嫌がりながらも吹くほど感じてしまっていたという事……



誓約書に拇印とサインして渡された
その時、ポケットの中の携帯が震えて
メッセージを受信していた





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