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微熱に疼く慕情
第9章 【歪んだ世界でも凛として…】

「疑っちゃってごめんなさい……」
「ううん、私が完全に悪い」
「取り乱しちゃってすみません」
「当然だよ、樹くんは悪くないから」
「信じます、一華さんの事」
「良いの?簡単に信じちゃって…」
「えっ……?」
「んふふ、冗談」
「はぁー良かった」
「でもちょっと心配だなぁ、私以外の女にもコロっと騙されちゃうんじゃない?」
「えぇ、やっぱり僕の事、騙してるんですか?」
「さぁ…?どうだろうねぇ…?」
「えー!ちょっと、マジで騙さないでくださいよ」
今度は樹くんが私の手を握ってくる
指を絡ませて子犬のような眼差しで見つめてくるんだもん
参っちゃうなぁ……
「これからはちゃんと言い合いましょうね?」
「うん……」
「一華さん?」
「私ね、樹くんが大好きだよ……本当に好き、でもね、辛くて苦しい思いをするなら、離れても良いんだよ?」
「えっ……何でそんな事……ごめんなさい、辛いって言ったけど一華さんが会いに来てくれて本当に嬉しかったんです、離れたくないです、ごめんなさいごめんなさいっ」
握っていた手も離したらどうなる…?
不安にさせておいてこの仕打ち……悪い女でごめんね
その顔、もっと見たいの
「ダメ、終わりにしよっか」って冗談だけど
キミはやっぱり泣いてしまう
冗談じゃ済まされないよね
「降りて…」は流石に可哀想
「嫌です……」
「はぁー泣かないでよ」
「ごめんなさっ…い」
後頭部から引き寄せて強引に唇重ねちゃう
ゲスでクズな女だなって思わないの…?
まだ騙されるんだ…?
目頭にもキス
舌も絡め合う
「私の事、嫌いになりかけたくせに」
「嫌いになんかなれないです」
「良いの?私、すっごい気まぐれだけど」
「また……放置されちゃいますか?」
ポロッと零れ落ちた涙を拭ってあげる

