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微熱に疼く慕情
第9章 【歪んだ世界でも凛として…】

車を飛ばして向かった
車内で手を握る
あー、やっぱり怒ってる、うーん、どうしたものか
「ごめんね?遅くなって」
ドライブに誘ったら行きたくないと言われ、
会うの迷ったんだけど、家まで来てしまった
会えたは会えたがずっと黙ってる
愛想尽かされちゃったかな
さっと手を引いたらこっちを見てくれた
「怒ってるよね…?ごめんなさい」
きっと、言いたい事たくさんあって
絶対これだけは言おうって決めてたりしたはず
なかなか言えないのは私の所為でもあるよね
別れようって言われちゃうのかな……
シートベルト外して、ちゃんと向き合う
「良いよ、言って…?樹くんの心の内、全部受け止めるから」
遠い目をしてる
こうなるまで放っておいた私が悪い
怒って当然だし、これ以上振り回されるのも嫌だよね
覚悟……しなきゃな
「……あと1日、あと1日待とうってずっと言い聞かせてた」
ようやく聞こえた樹くんの声は少し震えてる
きっとこれが本音だ
頷くばかりで私も泣きそうになってくる
「もう僕の事、何とも思ってないんじゃないかって……もう他に素敵な人が居て、そっちばっかになってるんじゃないかって……そんな想像ばかりしてました」
「……そんな事、ないよ」
「一華さん、綺麗だから他にも居るでしょ?正直に答えて」
不安でいっぱいな顔
どうしよう、大好物な顔してる……
「そっか、信用、失っちゃったね……」
何で私が傷付いた顔が出来るのか
汚いよね、自分でもそう思う
前に向き直して「ごめんね」しか言えないけど
会いに来なければ良かったとかは思わないよ
ようやく本音をぶつけてきてくれたから半分嬉しい

