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微熱に疼く慕情
第5章 【陶酔させてく純情】





出た、チャラいし陽キャだし無理……
部署関係なくバラバラで決まった座席だけど
良いのか悪いのか、私の周りは男だらけなんですけど……
ちゃんとくじ引きで決めたんだからね!?



「え?」



またまた油断……眼鏡取られた
先輩に絶対掛けててねって言われたのに
「何だ、伊達っすか?度入ってないっすね、前も言ったけど断然こっちの方が良いっすよ」ってどうでもいいから返して
周りにも見られて一番厄介な事態に……



「ちょっと返してください」


「マジで勿体ないな〜」



手元に戻って来たのですぐに掛けちゃう
一か八か「掛けないとちゃんと人と話せないんです、私にとっては武器みたいなものです」って言ったら意外と納得してくれた
陰キャでコミュ障だと思われて良い



「じゃ、いつか、ちゃんと外せて自然と話せる人と出逢えたら良いですね、眼鏡なんか必要ないやって思える人……俺とかどうっすか?」



途中まで普通だったのに何で最後そうなるのよ
ガクッときちゃったわ



「ちゃんと書類、不備なく書ける人じゃないと無理です」って嫌味っぽく言ってフフンと笑ったら眼鏡の奥の素の私がつい出ちゃったかも……
「うわー今の笑顔やべぇー」って大きな声で言わないで
私が誘惑してるみたいにも聞こえちゃうから
スッ…とまた、ポーカーフェイスになって塩対応に戻る
先輩との約束、守らなきゃ……



田中さんは、終始盛り上げ役みたいで周りに気を遣う事も出来るし、一番びっくりしたのは車内カラオケで抜群に歌が上手かった事
綺麗に二度見しちゃったくらい歌声が甘くて笑った
キョロキョロして落ち着きがなく忙しい
「私には気を遣わなくて良いですよ」って休ませたかったんだけど性に合わないみたい
根っからの陽キャだ
私が乗ってたバスだけめちゃくちゃ盛り上がってたらしいです





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