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微熱に疼く慕情
第5章 【陶酔させてく純情】





社員旅行が決まったので全員に情報共有しておく
既読がつく事でそれが返事だと私たちの間では
暗黙の了解なんだけど、ウザいくらいラリーしてくるのは他の誰でもない大智だけだ
スタンプも連打してきて暇なの?
もう無闇に家にも来るなと言ってあるからちょっとの間、大人しかったのに……



ちょうど生理も来て、旅行と被る事もなさそうだから温泉には入れる
自由時間、先輩は一緒に過ごしたいと言ってきた
当然だよね、もうその時にはバレちゃうかもだけど……
覚悟、しといた方が良さそうです



会社では今まで通りだけど、2人きりになると甘々になるの、結構楽しめてたんだけどな
それももう少しで終わりか
付き合ってるって知れ渡ったたらまず女子がどう反応するか、良からぬ噂も立ち始めるか、普段から好かれてない身としては胃が痛い……



旅行当日、先輩とは別のグループになってしまい、乗るバスも別だった
くじ引きで決まった座席に座ったら隣がまさかの……



「わぁ、奇遇っすね!やった、橘さんだ!」



営業部の田中さん……チャラ男確定の……
あ、髪の毛切ってる、前より良い感じ
静かに過ごしたい派だけど、ゴリゴリに話し掛けてきそうだね
通路挟んで隣の座席から同じ営業部の人で
「橘さん困らせるなよ」って注意されてる
後ろの座席からも
「橘さん、コイツは無視して良いからね」って言われてて、なんだ…結構気に入られてるんだなと思った



「あ、そうだ、橘さん……じゃ、記念に」


「え…?」



しまった、油断した
勝手にツーショット撮られた
普通に真顔だったよ、私……
「ダメっすよ、笑って笑って」ってもう一度



「ちょ、無理です」


「アハハ、困ってる顔も可愛いっすね」




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