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微熱に疼く慕情
第3章 【甘く麻痺していく心情】





向かってる途中もアナウンスだけが流れる状態だった
飲む前で良かった
少しだけ鼓動が早くなってる
落ち着きがないのもわかっていた
顔を見るまでは安心出来ない
とにかく早く大智のマンションへ……!



駐車場に停めたらダッシュで部屋に向かう
インターホンを鳴らす頃には息を切らしていた
近所迷惑だってわかっていながらドンドン叩いちゃう



「大智?大智!」



インターホンと交互にドアを叩いた
カチャ…と遠慮気味に鍵が開いてノブが動いた



「え……?一華?」



恐る恐るドアの隙間から顔を出してきた大智
強引に中に入って怪我や火傷はないか確認した



「大丈夫なの?何があった?何で電話出ないの!」


「あぁ、えっと……こっち」



言われるがまま家に上がり、キッチンの方へついて行くとやっとその意味がわかった
パスタを茹でていた鍋にスマホを落としちゃったらしい
テンパっちゃった大智は誤って拾おうとしたみたいで危うく火傷しかけたと……
すぐに冷やしたから大丈夫って言ってたけど私の心臓はバクバクしてる



「本当にごめんね?いやマジで今日のはドジしました、鍋に手入れかけてさ……って、一華?」



あれ……何……?何で涙が溢れるの……?



大智の無事を確認して、パンチして、ポロポロ泣き出してしまった
動揺するならすれば良い
ただただ、この涙の止め方を知らない



「バカ……何かあったかと思って…んぐっ……全然電話繋がらないしっ……いつもみたいに……うざったいくらい近くに居るんじゃなかったの?」


「ご、ごめん……連絡しようにも水没しちゃってどうしようもなくて、一華呆れてもう掛けても来ないんだろうなって思う反面、めちゃくちゃ心配して来てくれないかな…とも思ってた……そしたら本当に来たから、俺、夢かな?って…」








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