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微熱に疼く慕情
第3章 【甘く麻痺していく心情】

パスタ茹でながらこっちチラチラ見て
「ちゃんと手元見なよ」と注意を促していたのに
お皿に並べたラ・フランスに生ハムの上からブラックペッパー振ってオリーブオイルを垂らした
「え、え、マジで美味そう、そっち行って良い?」
「早くしてよ、私も食べたいんだけど……もう食べちゃうよ?」
「待って待って!まだ食べないでよ?まだだよ?あ、隠れて食べてない?何処居るの?うわっ!アッチ!」
お酒選んでてちゃんとスマホ見てなかったから
「え?どうした?」って戻って来た時には通話が切れていた
あっち!って言ってたよね?熱湯かかった?
掛け直してみても繋がらなかった
さて、どうしたものか……お腹空いてます
お酒も飲みたい
何度か掛け直してみても、電波が届かない場所に居るか…ていう無機質なアナウンスが流れるだけだった
ちょっとばかし、嫌な予感がする
フレームアウトした私に気を取られて手が滑ったとか?
慌てん坊な大智がやりそうな事だよ
え、何で繋がんないの?
電源落ちるとかある?
充電切れ?
でも掛け直してきても良いよね
もう5分くらい経つのに何の音沙汰もない
え、え、火傷とかしてたらどうする?
料理全然慣れてないじゃん
包丁も怪しかったもん
強がってばかりで、とにかく私と繋がってたいんでしょ?
何でスマホ鳴らないの?
火傷の応急処置とか知ってるのかな?
ちゃんと水で洗い流してる?
パスタごとぶち撒けた?
先に片付けてるだけだよね?
もう5分したら掛かってくる?
待ってれば良い?
いや、先に安否確認させてよ
「だから何で出ないの!!」
気が付いたら上着と車のキーを持って家を飛び出していた
変な胸騒ぎ……お願い、思い過ごしで居て……

