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夜に咲く名前のない恋人達
第8章 「心配するな」
ルカと同じ対応に、少し心が温かくなった。

私がステージで泣かないように。

チェキ会で泣かないように。

響さんは安心できるように拍手して、微笑んでくれたんだ………

ぷりんがハッとした表情で響を見つめると、クスッと笑う響。

「見に来てくれたファンに失礼だろ?泣いてステージから降りるアイドルなんて」

「でも……凄く辛かったから……」

安心させようとしてくれるのは分かるけど……

本当に、大丈夫……?

ホストの売り上げって、何百万、何千万って大金が動く勝負だよね……

響には言えないが、失礼ながら勝てると思ってないぷりん。

落ち込む様子を見つめた響が呟くように言った。

「もうお前は、この事に関与するな」

「え?」

「俺とも、しばらくお別れだ。俺達に任せとけ。心配するな」

また『心配するな』 だ。

響はそう言ってゆっくりと手を伸ばし、ぷりんの頭を優しく撫でた。

「あっ……」

不意打ちの仕草に、ぷりんは一瞬、胸が高鳴る。

落ち込んでる時に優しくされると、心が揺れるのは、軽い女という訳ではなく、幸せになりたい。という女の本能である。

「お前は、お前の世界で頑張れよ」

穏やかな声とは裏腹に、どこか寂しげな響の笑顔。

何か言いたいのに、ぷりんは言葉が見つからなかった。

大金なんてない。
何も手伝える事なんてない。

司さんのチームとの売上バトルに、何も貢献できない。

自分が無力だと思い知らされた。

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