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コンビニバイトの男の子
第6章 一夜

「あ、マサちゃん、おはよう。早いわね。今から学校?」
「はい。部活の朝練で」
「大変ね。あら、腕はもう治ったの?」
「だいぶ前に。今は全然平気です」
「それはよかった」
真沙人と話をするのは、悠希の誕生パーティで食材の買い出しに行った駅前のスーパーで会って以来でした。更にその前にも一度、鉢合わせしそうになったことを思い出します。
(何故かマサちゃんと会うのは、悠希くんに会う時と重なるのよね)
「しゅうこお姉さんも、早いですね」
「私?私は、主人が会社に行くのを見送りで」
そう言って再び駅の方を向くと、悠希の姿はありませんでした。
(あれ?いない・・・)
無言になった萩子の横顔を、真沙人が見つめます。
「そうなんですね。・・・それじゃ、いってきます」
「あっ、いってらっしゃい。気を付けてね」
勢い良く自転車を漕いで、真沙人は走り去りました。
(さっきの人、間違いなく悠希くんだった・・・。偶然歩いていただけだったの?)
その方向をぼんやり眺めていると、真沙人が通り過ぎた横道から悠希が出てきました。そのままこちらを見ずに角の電柱に躰を預け、スマートフォンを操作し始めます。
萩子が手に持っていたスマートフォンが振動し、メッセージの着信を知らせました。
《ハルミ:今から行ってもいいですか》
《ハルミ:人目があるので誰もいないタイミングで行きますから》
(そっか、私が人と話ししてたから横道に隠れてたんだ)
佇む萩子の横を追い越すように、駅に向かう人が徐々に増えてきています。中には話をしたことはないものの顔見知りで、近所に住んでいることを知っている人もいます。若い男の子を家に、それもこんな朝早くから引き入れているところを見られるのは、絶対に避けなければと思いました。
(ぼーっと立っているのも、怪しまれるわよね)
悠希のことは素知らぬふりをし、知り合いを見送って家に戻る風を装い、躰の向きを変えます。
悠希から自身が見える位置にいることを意識しながら、萩子は短いメッセージを悠希に送りました。
《萩子:鍵は開けとくから》
ゆっくりと玄関に戻り、ドアを開けて中に入ります。
「はい。部活の朝練で」
「大変ね。あら、腕はもう治ったの?」
「だいぶ前に。今は全然平気です」
「それはよかった」
真沙人と話をするのは、悠希の誕生パーティで食材の買い出しに行った駅前のスーパーで会って以来でした。更にその前にも一度、鉢合わせしそうになったことを思い出します。
(何故かマサちゃんと会うのは、悠希くんに会う時と重なるのよね)
「しゅうこお姉さんも、早いですね」
「私?私は、主人が会社に行くのを見送りで」
そう言って再び駅の方を向くと、悠希の姿はありませんでした。
(あれ?いない・・・)
無言になった萩子の横顔を、真沙人が見つめます。
「そうなんですね。・・・それじゃ、いってきます」
「あっ、いってらっしゃい。気を付けてね」
勢い良く自転車を漕いで、真沙人は走り去りました。
(さっきの人、間違いなく悠希くんだった・・・。偶然歩いていただけだったの?)
その方向をぼんやり眺めていると、真沙人が通り過ぎた横道から悠希が出てきました。そのままこちらを見ずに角の電柱に躰を預け、スマートフォンを操作し始めます。
萩子が手に持っていたスマートフォンが振動し、メッセージの着信を知らせました。
《ハルミ:今から行ってもいいですか》
《ハルミ:人目があるので誰もいないタイミングで行きますから》
(そっか、私が人と話ししてたから横道に隠れてたんだ)
佇む萩子の横を追い越すように、駅に向かう人が徐々に増えてきています。中には話をしたことはないものの顔見知りで、近所に住んでいることを知っている人もいます。若い男の子を家に、それもこんな朝早くから引き入れているところを見られるのは、絶対に避けなければと思いました。
(ぼーっと立っているのも、怪しまれるわよね)
悠希のことは素知らぬふりをし、知り合いを見送って家に戻る風を装い、躰の向きを変えます。
悠希から自身が見える位置にいることを意識しながら、萩子は短いメッセージを悠希に送りました。
《萩子:鍵は開けとくから》
ゆっくりと玄関に戻り、ドアを開けて中に入ります。

