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コンビニバイトの男の子
第6章 一夜

【4】
「じゃあ、いってきます」
玄関前に止めた車の窓を下げて、貴之が萩子に声を掛けました。
「いってらっしゃい。気を付けてくださいね」
「シュウも、戸締まり気を付けて。特に、リビングの窓はシャッターを閉めるの忘れないように」
「はい。気を付けますね」
出張当日の朝、仕事に使うノートパソコンや宿泊の荷物が多いため車で駅まで行くことにした貴之を、萩子は門の外まで出て見送ります。
「お土産、買う時間があったらでいいですから」
「明日ちょっと観光する予定だから、そこで買うよ。天気も良さそうだし」
萩子は、手に持っていたスマートフォンで貴之の出張先の天気を調べました。
「ほんと。観光日和みたいね」
「だから、昼過ぎぐらいに家に着くと思う」
「着く時間、連絡してくださいね」
「わかった。お土産、楽しみにしてて。それじゃあ」
貴之が窓を閉めると、車はゆっくりと走り出しました。静かな道路を進んでいく車を、萩子は目で追います。つい先程顔を出した太陽の眩しさに、萩子が目を細めます。道がカーブしている所で赤いブレーキランプが一瞬見えましたが、そのまま貴之の運転する車は走り去り見えなくなりました。
(行っちゃった・・・)
いつもと違う見送り方をしたことで、いつもと違う特別な日が始まったことを実感します。
「さてと、こっちも天気いいし、まずはいつも通りに洗濯から始めますか」
萩子が家に戻ろうと振り向きかけた時、貴之の車が去った方向から歩いてくる人影が目に入りました。
ゴールデンウィーク中なのでまばらではあるものの駅に向かう人や自転車ばかりの中で、逆に駅の方向から来るのは1人だけです。
(まさか・・・)
逆光を背に、真っ直ぐ歩いてくるその人の顔が見えて、誰か判りました。
(やっぱり悠希くんだ。来るの夕方の約束だったのに、何で・・・)
思わず悠希に声を掛けようとしますが、すぐ横で聞こえた自転車のブレーキ音にびっくりして、そちらを見ます。
「しゅうこお姉さん。おはようございます」
そこには、自転車に乗った真沙人の笑顔がありました。
「じゃあ、いってきます」
玄関前に止めた車の窓を下げて、貴之が萩子に声を掛けました。
「いってらっしゃい。気を付けてくださいね」
「シュウも、戸締まり気を付けて。特に、リビングの窓はシャッターを閉めるの忘れないように」
「はい。気を付けますね」
出張当日の朝、仕事に使うノートパソコンや宿泊の荷物が多いため車で駅まで行くことにした貴之を、萩子は門の外まで出て見送ります。
「お土産、買う時間があったらでいいですから」
「明日ちょっと観光する予定だから、そこで買うよ。天気も良さそうだし」
萩子は、手に持っていたスマートフォンで貴之の出張先の天気を調べました。
「ほんと。観光日和みたいね」
「だから、昼過ぎぐらいに家に着くと思う」
「着く時間、連絡してくださいね」
「わかった。お土産、楽しみにしてて。それじゃあ」
貴之が窓を閉めると、車はゆっくりと走り出しました。静かな道路を進んでいく車を、萩子は目で追います。つい先程顔を出した太陽の眩しさに、萩子が目を細めます。道がカーブしている所で赤いブレーキランプが一瞬見えましたが、そのまま貴之の運転する車は走り去り見えなくなりました。
(行っちゃった・・・)
いつもと違う見送り方をしたことで、いつもと違う特別な日が始まったことを実感します。
「さてと、こっちも天気いいし、まずはいつも通りに洗濯から始めますか」
萩子が家に戻ろうと振り向きかけた時、貴之の車が去った方向から歩いてくる人影が目に入りました。
ゴールデンウィーク中なのでまばらではあるものの駅に向かう人や自転車ばかりの中で、逆に駅の方向から来るのは1人だけです。
(まさか・・・)
逆光を背に、真っ直ぐ歩いてくるその人の顔が見えて、誰か判りました。
(やっぱり悠希くんだ。来るの夕方の約束だったのに、何で・・・)
思わず悠希に声を掛けようとしますが、すぐ横で聞こえた自転車のブレーキ音にびっくりして、そちらを見ます。
「しゅうこお姉さん。おはようございます」
そこには、自転車に乗った真沙人の笑顔がありました。

