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授乳の手ほどき
第2章 ひごとの
猫は器用に前足を使って乳房を踏みつけながら夢中になって吸い始めた。踏むことで乳の出がよくなると知ってるみたいである。

猫が喉をならして飲んでいくのに比例し娘が体をよじって出す声も大きくなる。

「あん、あ……ん、あん……」

猫が吸ってない方の乳房からも乳がじわじわと滲み出してきた。こちらも吸ってくれと誘っている。
老婆はペロリとそれを舐めた。

娘がうすく目をあけて老婆と視線がからむ。

その瞬間老婆は娘の乳首に噛み付いた。

「あっ!」

力強く噛みつき吸い上げる。まるで引きちぎらんばかりに荒々しい。

老婆への授乳はいつも激しい痛みをともなう。

「い、いや……、あ……ん」

娘は涙を流しながらいやいやと首を振った。

あまりの痛みで涙がポロポロとあふれ、肌を滴り落ちていく。
だが、彼女は老婆も猫も決して振り落とさない。嫌ならいくらでも小さな一人と一匹ぐらい追い出せるのに。ただ細い肩を震わせけんめいに耐えるだけだ。

娘はパンパンに張っていたものが吸いとられていく快感に抵抗できなかったのである。痛みと快感、どちらも抗えない麻薬のように体と精神を蝕んでいく。

老婆がまた乳房に歯を立てかじった。優しさのかけらもない、食べ尽くすような噛み方だ。

娘はあまりの痛さに体を仰け反らせ喉を震わせた。猫が振り落とされないよう爪を立てて乳房にしがみつく。そしてむしゃぶりつく。

「いっ……あ……、あ……ん……あん」

広い邸宅に響くのは娘の喘ぎ声と猫と老婆の乳を吸う音だけ。

自分達の責めに泣きながら艶っぽい声を出す獲物の、薄く血が混じった乳を、まるでご馳走だとばかりに喜んでしゃぶる一人と一匹。
そして彼らからのいたぶりを甘んじて受け入れ声をあげいやらしく腰を振る餌。

長い夜宴が始まった。
その狂宴は彼らが疲れて眠りにつくまで続くのだった。
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