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第17章 最後のタイムリープ

すると涼が爽やかな笑顔を、心結に向けた。

「心結ちゃん、せっかくだから試しにカメラの前に立ってみる？ 宣材写真を持っておきたいからさ。それで芸能界にも売り込めるからね？」

「えっ!? そ、そんな……私が芸能人なんて……」

心結は慌てて首を振ったが、涼は微笑みながら返す。

「可愛く撮ってあげるからいいよね？智樹が可愛い心結ちゃんをどうしても撮りたいって言うからさ」

不意に名前を出され、智樹は肩をビクリと震わせた。

「お、俺が……？」

「心結ちゃんを撮りたいんだよな？お前は可愛い女の子好きだもんなぁ？」

涼は意味ありげな笑みを浮かべ、智樹に圧をかけるような視線を向けた。

心結は目を輝かせて、芸能界を夢見てる少女のような瞳で、こちらを見ている。

そんな二人の視線から逸らすように俯いた智樹は、ぎこちなく頷いた。

「わ、分かりました……」

三人で撮影セットの部屋へ向かう事になり、前を歩く二人は楽しそうだが、後ろの智樹は全く心が晴れないまま。

このまま心結をここに関わらせて……

本当に大丈夫なんだろうか……

ただ心結の家の家計の事情なんて、俺にどうする事もできないからな……

特待生で映画研究会に入るって約束で来た女の子達……

確かに芸能界で活躍している人もいるけど、みんなが成功してる訳でもないんだよな……

智樹の胸に生まれた不安は、どんどん膨らんでいった。