パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第17章 最後のタイムリープ

音楽室。理科室。体育館。
学内を一通り案内した涼が、最後に向かったのは映画研究会の部室だった。

だが、部室という言葉では到底表せない場所だった。

小さなビルのような建物の中には、いくつものセットルームが配置されていて、レッスンルームやレコーディング施設まである。

リビングルーム風の部屋や、屋上にはカフェの一角を再現した場所などもある、大がかりな撮影スタジオだ。

涼は慣れた様子で施設を案内しながら、心結に語りかけた。

「ここでレッスンしたり、撮影したりしてるんだよ」

「すごい……」

心結は驚きの声を上げ、その瞳を輝かせてセットや機材を見渡した。

「なんか……芸能人になった気分ですっ!!」

「芸能界に興味あるの？ ここって、アイドルのサラちゃんとか、女優のマリアちゃんも卒業生なんだよ」

心結の表情がさらに明るくなる。

「あのサラちゃんとマリアちゃんが……!? 本当にすごい場所なんですね!!」

興奮で声を弾ませる心結の姿に、涼は満足げに目を細めた。

「せっかく特待生で来てくれたんだから、頑張れば女優でもアイドルにでもなれるんじゃないかな？」

「えっ、私が……？」

心結は照れくさそうに頬を赤らめた。

そのやり取りを横で見ている智樹の胸には、暗い影が広がっていた。

心結の無邪気な笑顔を見るたびに、涼の意図が見えない言葉に敏感になる。

なんだ、この違和感は……

涼の言葉に、どこか裏があるように聞こえる……