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第17章 最後のタイムリープ

小さな頃から、名門校に入るために勉強漬けの日々。

ピアノ、英語、塾。

まるで歯車のように、厳しい親の喜びの為だけに、頑張ってきた。

自由な遊びやゲーム、友達との外出を禁じられ、机に向かい続ける日々。

この世界線の自分は、勉強をする事が将来の幸せである。
そう親に洗脳されて生きてきた。

その結果、友達との付き合い方もわからず、笑顔の作り方すら、ぎこちなくなってしまった。

これで有名企業に入ることがゴールなんて、冗談だろ……

一部の才能のある奴以外、俺みたいな一般人がちょっと勉強できたところで、大した未来なんてない……

普通に生きる中で、小さな幸せを見つける程度しかない事を、バブル世代の親は知らないんだ……

親はどういう子に育ってほしいのか？もう一度よく考えてみてくれ……

見た目は母親が買ってくる、おじさんの服を着た失敗作の学者、中身はうろ覚えの教材以外の知識がほぼない人間……

それで一流企業で働け。結婚しろ。子供を作れ。無理に決まってるだろ……

これまで若い人達をたくさん見てきて、普通に生きるのが難しい。というおじさんのように、心の中で毒づく。

一方で、智樹の目の前には笑顔を見せる心結がいる。

ココの、幸せってなんだろう……？

智樹はその問いを胸に抱えながら、目の前の少女を救う決意を新たにした。

今度こそ、心結を本当の意味で幸せにするために。