この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
天狐あやかし秘譚
第34章 【第9話 姑獲鳥】報恩謝徳(ほうおんしゃとく)

☆☆☆
「芝三郎・・・それなに?」
外出から戻ってきた芝三郎がリビングにある棚にごそごそ何かを隠そうとしているように見えたので、つい聞いてしまう。
びく!とわかりやすく肩を震わせてから、彼はそーっとこっちを振り返った。
「どしたの?」
「な・・・なんでもござらん!」
なんか・・・怪しいなぁ。
まあ、芝三郎が悪いことしているとは思えないけど。
「芝三郎、その紙・・・」
ソファでテレビを見ていたダリがひょいと後ろから声を掛ける。
「何でござる・・・だ・・・ダリ殿?」
紙?ああ、確かに今、隠そうとしているのは、どうやら画用紙のようだ。何か絵が描いてあるのが一瞬見えた。
「あやかしの気配がする」
ダリが言う。あやかし?
「拙者もあやかしであるがゆえ!」
画用紙を二つ折りにし、後ろ手に持ったまま後ずさる。別に取りゃしないけど・・・。
「まあ、いいのであるがな」
関心をなくしたのかダリが再びテレビ視聴に視線を戻した。
「いいけど・・・手、洗いなさいね。そろそろご飯よ」
「お・・・おう!」
言った芝三郎の目は、やっぱりなんとなく、泳いでいたのであった。
☆☆☆
次の日。やっぱりいそいそと芝三郎が家を出ていく。昨日と同じ時間だ。
やっぱり怪しいわね。
「何してるのかしら?」
塀の影から、とててててと走っていく芝三郎の様子をそっとうかがう。
彼の手には昨日隠そうとしていた紙がしっかり握られている。よほど大事なのか、折れてしまわないように慎重に持っている感じだ。
結局、昨日、あの紙を見ることはしなかった。それはなんだか芝三郎のプライバシーを冒しているような気がするからだ。
でも、やっぱり気になる・・・。ということで、折衷案としてこうして尾行している、というわけだ。
「芝三郎・・・それなに?」
外出から戻ってきた芝三郎がリビングにある棚にごそごそ何かを隠そうとしているように見えたので、つい聞いてしまう。
びく!とわかりやすく肩を震わせてから、彼はそーっとこっちを振り返った。
「どしたの?」
「な・・・なんでもござらん!」
なんか・・・怪しいなぁ。
まあ、芝三郎が悪いことしているとは思えないけど。
「芝三郎、その紙・・・」
ソファでテレビを見ていたダリがひょいと後ろから声を掛ける。
「何でござる・・・だ・・・ダリ殿?」
紙?ああ、確かに今、隠そうとしているのは、どうやら画用紙のようだ。何か絵が描いてあるのが一瞬見えた。
「あやかしの気配がする」
ダリが言う。あやかし?
「拙者もあやかしであるがゆえ!」
画用紙を二つ折りにし、後ろ手に持ったまま後ずさる。別に取りゃしないけど・・・。
「まあ、いいのであるがな」
関心をなくしたのかダリが再びテレビ視聴に視線を戻した。
「いいけど・・・手、洗いなさいね。そろそろご飯よ」
「お・・・おう!」
言った芝三郎の目は、やっぱりなんとなく、泳いでいたのであった。
☆☆☆
次の日。やっぱりいそいそと芝三郎が家を出ていく。昨日と同じ時間だ。
やっぱり怪しいわね。
「何してるのかしら?」
塀の影から、とててててと走っていく芝三郎の様子をそっとうかがう。
彼の手には昨日隠そうとしていた紙がしっかり握られている。よほど大事なのか、折れてしまわないように慎重に持っている感じだ。
結局、昨日、あの紙を見ることはしなかった。それはなんだか芝三郎のプライバシーを冒しているような気がするからだ。
でも、やっぱり気になる・・・。ということで、折衷案としてこうして尾行している、というわけだ。

