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天狐あやかし秘譚
第34章 【第9話 姑獲鳥】報恩謝徳(ほうおんしゃとく)

そこまで話し終わったところで、大体の構図が出来上がった。まだ白いところがあるので、そこに色鉛筆やクレヨンで色を塗れば大方完成だろう。
へへ・・・と環が破顔した。
「ありがとう、芝三郎・・・。これでクリスマスまでにはママに渡せるよ・・・」
それじゃあ残りの作業に、と思ったところで、施設内に鐘が鳴った。この鐘は部屋が閉まる合図である。
「あ、終わっちゃった・・・」
環が心残りだというように絵を眺める。
「なに、明日には完成じゃ。また、明日、ここで会おうぞ」
一応、絵は環が持って帰るかと尋ねたが、首を振ったので、折れてしまわぬよう慎重に手に持ち、拙者は『綿貫亭』を目指した。
環は、『くみんせんたー』の前でいつまでも、いつまでも拙者のことを見送ってくれていた。
へへ・・・と環が破顔した。
「ありがとう、芝三郎・・・。これでクリスマスまでにはママに渡せるよ・・・」
それじゃあ残りの作業に、と思ったところで、施設内に鐘が鳴った。この鐘は部屋が閉まる合図である。
「あ、終わっちゃった・・・」
環が心残りだというように絵を眺める。
「なに、明日には完成じゃ。また、明日、ここで会おうぞ」
一応、絵は環が持って帰るかと尋ねたが、首を振ったので、折れてしまわぬよう慎重に手に持ち、拙者は『綿貫亭』を目指した。
環は、『くみんせんたー』の前でいつまでも、いつまでも拙者のことを見送ってくれていた。

