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天狐あやかし秘譚
第95章 実事求是 (じつじきゅうぜ)
普通の人は知らないだろう。『直日(なおひ)』とは日本神道において、曲がったとか、間違ったを示す『禍津日(まがつひ)』の対となる言葉だ。すなわち、正しいこと、真っ当なことを表す。『禍津日』に『八十禍津日神(やそまがつひのかみ)』や『大禍津日神(おおまがつひのかみ)』が対応するように、『直日』にも『神直毘神(かみなほびのかみ)』や『大直日神(おほなほひのかみ)』が対応している。

その直日神の祝福が『直日の祝』なのだ。

「つまり・・・?」
「貴方にかかったそれは、呪いではなく、祝福・・・あなたのために掛けられた『願』なのです。願である以上、それは解くとか、解かないとかいう問題ではないです、あなたはその祝福を受け入れるべき・・・なのです」
「馬鹿な!・・・こ・・・これが祝福であるものか!こ・・・こんなものが!」

ダン!と机を両手で叩き、江藤は、顔を真赤にして反論してくる。

「なんでもいい・・・祝福でもなんでもいい、とにかく、これをなんとかしてくれ。さもなければ私の・・・私の政治家生命は!」
「それは、願をかけた本人に、言ってみるといいのです」

ちらっと宝生前の方を見る。宝生前が黙って席を立ち、個室の両開きの扉のもとに行く。江藤が、彼の動きを目で追っていた。

宝生前が扉に手をかけて、それを大きく開け放つと、そこには、1歳くらいの子どもを抱きかかえた美しい女性が立っていた。

「お・・・まえ・・・千遥(ちはる)・・・。ま、まさかお前が!?」
「あなた!」

そこにいたのは、江藤千遥、江藤二重の妻であり、今回の『直日の祝』の願主(ねがいぬし)であった。

「お前!なんで、なんでこんなことを!自分が何をやっているか分かっているのか!?」
「わかってる・・・わかってるよ!私はただ・・・!」
「もういい、さっさとこの願とやらを解け!もう少しで私は全てを失うところだったんだぞ!」

父親と母親が出会ったと思ったら急に険悪な雰囲気になってしまい、抱かれていた子がぎゅっと母である千遥にしがみつく。目に涙も浮かんでおり、今にも泣き出しそうになっていた。
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