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天狐あやかし秘譚
第95章 実事求是 (じつじきゅうぜ)
そんな宝生前の抗議の言葉を無視し、ついでに手も握っちゃったりなんかして、私は小声で視覚共有のための呪言を唱えた。
『ああっ・・・』
宝生前が息を吐くように小さな声を漏らした。耳元で囁かれているようで、これはこれでドキドキものだ。
『こんな格好を?』
『エレベーターに乗るのです。私達も行くのです!』
頬と頬をくっつけながらの会話は端から見ると大変奇妙に見えるだろうが、私はとても満足した。何ならこのまま移動したいくらいだったが、さすがにそういうわけにはいかない。
名残惜しいが、最低限の荷物をまとめて、夜魂蝶が追っている江藤の行く先を突き止めるべく部屋を出た。
江藤は、ホテルの目立たない出口から出て、ビル群の合間を縫うように新宿駅方向に向かう。新宿駅のガードを潜り、西武新宿方向に曲がると、歌舞伎町へと向かう。
私と宝生前(それから菊理媛)は適度な距離を保ち、それを追っていた。
『なんか探偵みたいでドキドキするのです!』
ギュッと宝生前さんの腕に、自らの腕を絡みつかせる。
『ちょ・・・あの・・・腕を組む必要とかはないのでは!?』
『デートのフリです!この方がこの街では自然なのです!』
有無を言わせない私の言葉に、宝生前も反論する気力を失ったようで、大人しく腕を組ませてくれる。彼の体温が感じられるし、なんとなればぎゅっと彼の腕にほっぺを押し付けると、これまた彼の匂いが体に染み込むようで・・・ものすごく、ドキドキしてしまう。
すごく、役得である。
『あ!』
見ていると江藤は、シネシティ広場に到着するとスマホを取り出して電話をかける。すると、すぐにそこのライオン像の前にいたやたらと生足を露出している二十歳そこそこくらいの女性も電話を片手に手を振って彼に近づいていった。そのまま二人は腕を組んで歩き出す。
『浮気なのでしょうか?』
宝生前はそう言うが、私は違う意見だった。
『あれはおそらくデリヘル嬢なのです・・・ほら、カゴみたいなのを持っていますよね?あれにエッチな道具がいっぱい入ってるのです』
『はあ・・・よく、ご存知ですね』
『ああっ・・・』
宝生前が息を吐くように小さな声を漏らした。耳元で囁かれているようで、これはこれでドキドキものだ。
『こんな格好を?』
『エレベーターに乗るのです。私達も行くのです!』
頬と頬をくっつけながらの会話は端から見ると大変奇妙に見えるだろうが、私はとても満足した。何ならこのまま移動したいくらいだったが、さすがにそういうわけにはいかない。
名残惜しいが、最低限の荷物をまとめて、夜魂蝶が追っている江藤の行く先を突き止めるべく部屋を出た。
江藤は、ホテルの目立たない出口から出て、ビル群の合間を縫うように新宿駅方向に向かう。新宿駅のガードを潜り、西武新宿方向に曲がると、歌舞伎町へと向かう。
私と宝生前(それから菊理媛)は適度な距離を保ち、それを追っていた。
『なんか探偵みたいでドキドキするのです!』
ギュッと宝生前さんの腕に、自らの腕を絡みつかせる。
『ちょ・・・あの・・・腕を組む必要とかはないのでは!?』
『デートのフリです!この方がこの街では自然なのです!』
有無を言わせない私の言葉に、宝生前も反論する気力を失ったようで、大人しく腕を組ませてくれる。彼の体温が感じられるし、なんとなればぎゅっと彼の腕にほっぺを押し付けると、これまた彼の匂いが体に染み込むようで・・・ものすごく、ドキドキしてしまう。
すごく、役得である。
『あ!』
見ていると江藤は、シネシティ広場に到着するとスマホを取り出して電話をかける。すると、すぐにそこのライオン像の前にいたやたらと生足を露出している二十歳そこそこくらいの女性も電話を片手に手を振って彼に近づいていった。そのまま二人は腕を組んで歩き出す。
『浮気なのでしょうか?』
宝生前はそう言うが、私は違う意見だった。
『あれはおそらくデリヘル嬢なのです・・・ほら、カゴみたいなのを持っていますよね?あれにエッチな道具がいっぱい入ってるのです』
『はあ・・・よく、ご存知ですね』

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