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天狐あやかし秘譚
第94章 神機妙算(しんきみょうさん)
今の式神勧請の光景があまりに不思議だったのか、彼の私に対する態度が少し変わった気がした。言い忘れたが、私の格好はいつも通りのシャーマンファッション。紫色を基調としたエキゾチックな衣装に、髪の毛も見ようによっては紫色に見えるし、メイクも目元を強調する独特なものだ。よく、胡散臭い占い師みたいな見られようをするが、彼もその口だったようだ。私が正規の陰陽寮の職員であり、かつ宝生前よりも上役であるということは理解しているっぽいが、さっきまではどうしても『この女、本当に大丈夫か?』というような失礼な視線を向けてきていた。しかし、今はそれが変わっている。若干言葉が敬語になっていた。
まあ、私を敬ってくれるのはいいことなのだが、今出た占術の結果をそのままお伝えするわけにはいかない。仕方がないので、私は少し難しい顔をして見せた。
「うーん・・・ちょっとはっきり出ないですね・・・。もう少し追加で調査をしたいのです・・・今日のところはここでできる事はすべてやりきったので、この結果を持ち帰って調査の上、そうですね・・・1〜2日後、再度お会いしたいと思います」
「え・・・あ・・・はい・・・それならば、まだしばらく私はこちらに滞在するので、秘書の方にメールを頂ければ最優先で予定を取るようにしますので」
よほど、焦っているらしい。
まあ、それはそうだろう。
「では、私達はこのへんで」
私が立ち上がると、宝生前もそれに合わせて立ち上がる。さり気なく私の荷物を持ってくれるあたりがやっぱり素晴らしい。
個室の入口で一度振り返り、礼儀を通すべく一度お辞儀をする。宝生前は私のアシスタントに徹し、扉の開閉をしてくれた。
扉が閉まる直前、江藤が頭を抱えているように見えたのは、おそらく気のせいではなかっただろう。
まあ、私を敬ってくれるのはいいことなのだが、今出た占術の結果をそのままお伝えするわけにはいかない。仕方がないので、私は少し難しい顔をして見せた。
「うーん・・・ちょっとはっきり出ないですね・・・。もう少し追加で調査をしたいのです・・・今日のところはここでできる事はすべてやりきったので、この結果を持ち帰って調査の上、そうですね・・・1〜2日後、再度お会いしたいと思います」
「え・・・あ・・・はい・・・それならば、まだしばらく私はこちらに滞在するので、秘書の方にメールを頂ければ最優先で予定を取るようにしますので」
よほど、焦っているらしい。
まあ、それはそうだろう。
「では、私達はこのへんで」
私が立ち上がると、宝生前もそれに合わせて立ち上がる。さり気なく私の荷物を持ってくれるあたりがやっぱり素晴らしい。
個室の入口で一度振り返り、礼儀を通すべく一度お辞儀をする。宝生前は私のアシスタントに徹し、扉の開閉をしてくれた。
扉が閉まる直前、江藤が頭を抱えているように見えたのは、おそらく気のせいではなかっただろう。

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