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天狐あやかし秘譚
第94章 神機妙算(しんきみょうさん)
☆☆☆
「ええ・・・今回はよろしく、お願い致します」
今日も、ビシッとした三つ揃えの濃茶のスーツに身を包んだ、カッコいい宝生前が、改まった様子で私の執務机の前に来て、頭を下げる。
「そんな改まらなくてもいいのです!こちらこそ、よろしくお願いします、なのです!
では、早速にミーティングを・・・!」
会議の次の日、朝からの活動開始を予定していた私達は、朝一番で打ち合わせに入ることにしていた。宝生前との二人きりのミーティングのために、わざわざ応接室をひとつ押さえてもらっていたのだ。なので私は逸る気持ちを抑えつつも、宝生前の手をおもむろに掴みぐいぐいと応接室まで引いていく。なにやら宝生前は『ちょ・・・』等と言っていたが、迅速な事件解決に必要なことだから、と自分を正当化し、その声を黙殺した。
そんなわたしたちの後ろをちょこちょこと菊理媛がついてきてくれているのはしっかり確認してある。
そのまま彼を応接室に連れ込・・・じゃなかった、応接室に一緒に入ると、彼を座らせ、私はその横にすとんと腰を下ろした。
「あ・・・の・・・この位置取りは・・・」
「こうした方が一緒に資料を見やすいのです!」
昨日の会議の後、烈火のごとく仕事をしてまとめ上げた今回の事案に対する資料を机の上に広げ、一緒に見ていく。こんなに愛しい貴方と密着できるなんて、やっぱり今回は凄くラッキーなのです!
「今回の対象者は江藤二重(えとう ふたえ)という長野県の地方議員なのです。」
江藤二重は地域の三世議員であり、父親から地盤を引き継いで県議選に立候補、23という若さで議員となったやり手である。祖父も父も国会議員を務めており、大臣経験もある由緒正しき政治家の家系だった。故にその政治的ネットワークは強力であり、現役の多くの議員とのコネクションを持ち、次期は国政に打って出るとのもっぱらの噂であった。
当然、現役の議員とのつながりも強く、彼を自分の後継者にしようなどと考えている人物もでてきているようだった。それがおそらく今回の依頼主であろうが、今はあまり関係がないのでこの辺は割愛だ。
「ええ・・・今回はよろしく、お願い致します」
今日も、ビシッとした三つ揃えの濃茶のスーツに身を包んだ、カッコいい宝生前が、改まった様子で私の執務机の前に来て、頭を下げる。
「そんな改まらなくてもいいのです!こちらこそ、よろしくお願いします、なのです!
では、早速にミーティングを・・・!」
会議の次の日、朝からの活動開始を予定していた私達は、朝一番で打ち合わせに入ることにしていた。宝生前との二人きりのミーティングのために、わざわざ応接室をひとつ押さえてもらっていたのだ。なので私は逸る気持ちを抑えつつも、宝生前の手をおもむろに掴みぐいぐいと応接室まで引いていく。なにやら宝生前は『ちょ・・・』等と言っていたが、迅速な事件解決に必要なことだから、と自分を正当化し、その声を黙殺した。
そんなわたしたちの後ろをちょこちょこと菊理媛がついてきてくれているのはしっかり確認してある。
そのまま彼を応接室に連れ込・・・じゃなかった、応接室に一緒に入ると、彼を座らせ、私はその横にすとんと腰を下ろした。
「あ・・・の・・・この位置取りは・・・」
「こうした方が一緒に資料を見やすいのです!」
昨日の会議の後、烈火のごとく仕事をしてまとめ上げた今回の事案に対する資料を机の上に広げ、一緒に見ていく。こんなに愛しい貴方と密着できるなんて、やっぱり今回は凄くラッキーなのです!
「今回の対象者は江藤二重(えとう ふたえ)という長野県の地方議員なのです。」
江藤二重は地域の三世議員であり、父親から地盤を引き継いで県議選に立候補、23という若さで議員となったやり手である。祖父も父も国会議員を務めており、大臣経験もある由緒正しき政治家の家系だった。故にその政治的ネットワークは強力であり、現役の多くの議員とのコネクションを持ち、次期は国政に打って出るとのもっぱらの噂であった。
当然、現役の議員とのつながりも強く、彼を自分の後継者にしようなどと考えている人物もでてきているようだった。それがおそらく今回の依頼主であろうが、今はあまり関係がないのでこの辺は割愛だ。

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