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天狐あやかし秘譚
第93章 【第18話:菊理媛】先用後利(せんようこうり)
寡黙で、クールな外見。痩せぎすで、いつもビシッとスーツを着ているおしゃれさん。
そんな外見に似合わず、好きなことには我を忘れて没頭してしまうような子供っぽい一面もある。
そして、何より、常に冷静沈着で頭が良くて、周囲への温かな配慮を忘れない大人の魅力に満ち溢れた男性なのだ。
もともと、気にはなっていたし、隙あらばアプローチを、と思っていたが、とある事件をきっかけに、恋心はますます燃え盛り、もはや私の心の中の消火隊では対処不能なまでになってしまっていた。
とある事件・・・それは通称『辻神事件』と言われた事件である。そこで私は自分を囮にして辻神を捕まえようとしたのだが、逆に囚われてしまったのだ。
その時、無茶振りしたのは私の方だったのに、誰よりも早く駆けつけてくれたのが彼だった。
その時も、私を辱めないようにする配慮をしてくれたし、持てる力を存分に発揮しての事件解決能力には目を見張るものがあった。そして、なにより、登場シーンから救出までの一連の所作が・・・所作が・・・
かっこよすぎる!!!
やっぱり、顔の作りも含めて、何もかもが私の胸にストライク。
見るたびに目がハートになってしまう。
でも、彼と私の間には、とんでもない障壁があった。
そう、彼は『ゲイ』なのだ。
話を聞くと、生まれながらと言うか、物心ついたときからずっとずっと男性が好きで、目で追ってしまうのも、触れたいと思うのも、男性ばかりだったという。
性的指向が違う。
なれるものなら男になりたい・・・こんなに痛切にそう思ったことはなかった。
なので、私はキスは愚か、宝生前さんに抱きつくことすらしたことがなかった。
はあ・・・
とぼとぼと寮を出ると、外はどんよりと曇っていた。
梅雨時だ、いつ泣き出してもおかしくない。そんな空を見上げて『泣きたいのはこっちなのです』などと天に対して毒づきたくなる。
そんな思いが天帝の怒りに触れたのか、寮から駅までの道すがらで、ぽつぽつと雨が降り出してきた。
ああ・・・傘、持っていないのです・・・
最初は我慢して歩こうと思ったけれども、坂下門を出て、もう少しで大手町駅の階段があるという所まで来て、我慢出来ないほどの大ぶりになってきてしまった。仕方がないので、和田倉公園の休憩スペースで雨宿りをすることにした。
そんな外見に似合わず、好きなことには我を忘れて没頭してしまうような子供っぽい一面もある。
そして、何より、常に冷静沈着で頭が良くて、周囲への温かな配慮を忘れない大人の魅力に満ち溢れた男性なのだ。
もともと、気にはなっていたし、隙あらばアプローチを、と思っていたが、とある事件をきっかけに、恋心はますます燃え盛り、もはや私の心の中の消火隊では対処不能なまでになってしまっていた。
とある事件・・・それは通称『辻神事件』と言われた事件である。そこで私は自分を囮にして辻神を捕まえようとしたのだが、逆に囚われてしまったのだ。
その時、無茶振りしたのは私の方だったのに、誰よりも早く駆けつけてくれたのが彼だった。
その時も、私を辱めないようにする配慮をしてくれたし、持てる力を存分に発揮しての事件解決能力には目を見張るものがあった。そして、なにより、登場シーンから救出までの一連の所作が・・・所作が・・・
かっこよすぎる!!!
やっぱり、顔の作りも含めて、何もかもが私の胸にストライク。
見るたびに目がハートになってしまう。
でも、彼と私の間には、とんでもない障壁があった。
そう、彼は『ゲイ』なのだ。
話を聞くと、生まれながらと言うか、物心ついたときからずっとずっと男性が好きで、目で追ってしまうのも、触れたいと思うのも、男性ばかりだったという。
性的指向が違う。
なれるものなら男になりたい・・・こんなに痛切にそう思ったことはなかった。
なので、私はキスは愚か、宝生前さんに抱きつくことすらしたことがなかった。
はあ・・・
とぼとぼと寮を出ると、外はどんよりと曇っていた。
梅雨時だ、いつ泣き出してもおかしくない。そんな空を見上げて『泣きたいのはこっちなのです』などと天に対して毒づきたくなる。
そんな思いが天帝の怒りに触れたのか、寮から駅までの道すがらで、ぽつぽつと雨が降り出してきた。
ああ・・・傘、持っていないのです・・・
最初は我慢して歩こうと思ったけれども、坂下門を出て、もう少しで大手町駅の階段があるという所まで来て、我慢出来ないほどの大ぶりになってきてしまった。仕方がないので、和田倉公園の休憩スペースで雨宿りをすることにした。

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