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天狐あやかし秘譚
第88章 昼想夜夢(ちゅうそうやむ)
ニャア・・・

もう一度鳴く。しかし、相変わらず、日暮はクチュクチュとなにやら股の間から水を舐めるような音をさせて、苦しそうに『助けて』と呟き続けている。

にゃんだ?

ぴょん、と身軽にベッドの上に乗り、主が手を添えている部分に近寄っていく。そのあたりをフンフンと鼻を鳴らして嗅ぎ回る。

どうしたんにゃ?大丈夫かにゃ?

多分、そんな気持ちだったのだろうか、猫神が太もものあたりをぺろりと舐めた。

「ひゃあっ!!」

大きな声が突然あがり、びっくりした猫神が体を震わせる。実際には、日暮のほうがもっと驚いていた。オナニーに耽っているときに、突然、ザラリとした生暖かい何かで撫でられたのだ。そのくすぐったいような気持ちいいような感触に身体が猫神とは別の意味で震えてしまう。

日暮が見ると、自分の足元で猫神・・・彼女が『ニャンコ先生』と呼んでいる式神が、ペロペロとその小さな舌で前足を舐め舐め、毛づくろいをしているところだった。

「今の・・・ニャンコ先生?」

ポツリと言うと、にゃあ、と猫神が応えた。このとき、頭がすっかりピンク色に染まり、身体の芯がジクジクと疼いてしまっている日暮の脳裏に、普段なら絶対に考えつかないようなアイデアが浮かんでしまう。

も・・・もしかして・・・

ゴクリと喉を鳴らす。先程のザラリとした刺激・・・あの感触が頭から離れない・・・

「ね・・・ねえ、ニャンコ先生・・・」

にゃ?

不審そうな顔をして、主の顔を見つめる猫神。
この後、猫神はかつてない主からの『要請』に、2時間以上もつきあわされる羽目になったのだった。
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