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unbalance
第34章 歯磨き
「霧野は、歯磨きまだ?」
「ま、まだだけど……」
すると相馬は首を伸ばして、唇にちゅっとキスをした。
「っあ……っ」
「へへ」
相馬は再び頭をベッドに下ろしてふにゃりと笑う。
「は、歯磨き、するんでしょ。起きるよ」
「歯磨きしたらまたキスしてくれる?」
……よくそんなことが直球で言えるわね。
まだ酔ってるんだろうか。
「歯磨きする」
相馬がようやくベッドから降りた。
緩い動きで洗面所に向かう相馬のあとを追う。
相馬が歯ブラシに歯磨き粉だけつけて部屋に戻ったので、私は洗面所でドライヤーを始めた。
私の髪が乾く前に、相馬は戻ってきた。
うがいをして、んー、と伸びをするのを、私はドライヤーを続けながら眺めていた。
相馬ががしがしと頭を掻いて、何か言う。
聞こえなくて、私はドライヤーを止めた。
「何?」
「歯磨きしたら目ぇ覚めたわ。風呂入る」
そのまま相馬がいきなり、無造作にTシャツを脱いだ。
「ちょ、ちょちょちょ!」
私は慌てて背を向けた。
「別にそっち向かなくていいよ?」
だから、なんで! 相馬が平気そうなのよ!

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