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淫夢売ります
第31章 白の花園:開く扉

☆☆☆
「裕美は、ただ好きな人に好きだと言っただけだった」
いつの間にか、暗闇の中、私とユミが向かい合っている。
ユミは笑っていた。
「だけど、それは受け入れられなかった」
そう・・・そうだった。
紀美子ちゃんも、クラスの誰も、私の想いを受け入れてなんてくれなかった。
「だから、裕美は、忘れることにしたの。
なかったことにしたの。
紀美子ちゃんとの思い出も、自分の思いも、彼女への恋心も何もかも」
そうだ・・・そうだったんだ。
私は、昔から・・・多分、生まれたときから、女性しか愛せない性質だったんだ。
それが受け入れられないと知らなくて、無邪気に話した恋心を傷つけられて・・・
だから・・・自分の性指向ごと、全部丸ごと、心の中に押し込めて、殺したんだ。
「ユミが、思い出させてくれたんだね」
ユミが優しく私を抱いてくれたから、私の想いをちゃんと受け止めてくれたから・・・だから私はやっと記憶を取り戻すことができた。
「ありがとう・・・」
ユミの手のひらが私の頬を包み込むように撫でてくる。
その手に手を重ねて、私は涙を流した。
「良かった・・・これで、私の役割はおしまい」
え?
ユミの言葉の意味が一瞬わからなかった。
顔を上げてユミの目を見る。
ユミは目を細めて、嬉しそうにしていた。
「私はあなた・・・辛い思い出が生んだ、あなたの影。
ユミは・・・裕美(ゆみ)。
あなたが白の花園への鍵を手に入れて、何もかも思い出せば、私は用済み」
ユミの手が、身体が、闇に透けていく。
彼女が、消えてしまうのだと、わかった。私には、わかった。
「いや・・・いや・・・ダメ・・・消えないで・・・ずっといて・・・私と一緒に生きて!」
頬に添えられた手を握りしめる。その手の感触がどんどんと薄くなっていく。
「私はあなたなの。消えるわけじゃないわ。あなたの中に戻るだけ。一緒よ。
でも、この姿ではいられない。あなたの心が、私をもう必要としないから・・・。
だって、ねえ・・・自分と結婚、できないでしょ?」
「裕美は、ただ好きな人に好きだと言っただけだった」
いつの間にか、暗闇の中、私とユミが向かい合っている。
ユミは笑っていた。
「だけど、それは受け入れられなかった」
そう・・・そうだった。
紀美子ちゃんも、クラスの誰も、私の想いを受け入れてなんてくれなかった。
「だから、裕美は、忘れることにしたの。
なかったことにしたの。
紀美子ちゃんとの思い出も、自分の思いも、彼女への恋心も何もかも」
そうだ・・・そうだったんだ。
私は、昔から・・・多分、生まれたときから、女性しか愛せない性質だったんだ。
それが受け入れられないと知らなくて、無邪気に話した恋心を傷つけられて・・・
だから・・・自分の性指向ごと、全部丸ごと、心の中に押し込めて、殺したんだ。
「ユミが、思い出させてくれたんだね」
ユミが優しく私を抱いてくれたから、私の想いをちゃんと受け止めてくれたから・・・だから私はやっと記憶を取り戻すことができた。
「ありがとう・・・」
ユミの手のひらが私の頬を包み込むように撫でてくる。
その手に手を重ねて、私は涙を流した。
「良かった・・・これで、私の役割はおしまい」
え?
ユミの言葉の意味が一瞬わからなかった。
顔を上げてユミの目を見る。
ユミは目を細めて、嬉しそうにしていた。
「私はあなた・・・辛い思い出が生んだ、あなたの影。
ユミは・・・裕美(ゆみ)。
あなたが白の花園への鍵を手に入れて、何もかも思い出せば、私は用済み」
ユミの手が、身体が、闇に透けていく。
彼女が、消えてしまうのだと、わかった。私には、わかった。
「いや・・・いや・・・ダメ・・・消えないで・・・ずっといて・・・私と一緒に生きて!」
頬に添えられた手を握りしめる。その手の感触がどんどんと薄くなっていく。
「私はあなたなの。消えるわけじゃないわ。あなたの中に戻るだけ。一緒よ。
でも、この姿ではいられない。あなたの心が、私をもう必要としないから・・・。
だって、ねえ・・・自分と結婚、できないでしょ?」

