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ジャスミンの花は夜開く
第13章 再会

見てはいけないものを見てしまった方が、なぜか罪悪感が大きい。
アイという女性もまずいと思ったのだろう、出したはずの腕をすぐに引っ込めた。
茉莉花は立ち上がる前に息を整え、自分に『しっかり!』と言い聞かせる。
「お嬢さん、大丈夫ですか?ちょっと顔色が優れないようですが…」
男の方が気を遣ってそう言った。
アブノーマルなプレイをした後、しかも跡目が完全に消えていないのだから、いわゆる事後も事後、そう時間も経っていないだろう。
昨日はここのトイレで、今日はラブホテルにでも行ったのだろうか。
また要らぬ妄想が茉莉花の頭の中を駆け巡る。
「いえ、大丈夫です。今日が初めてのアルバイトなので、ちょっと緊張してしまって」
とってつけたような言い訳だが、これが一番しっくりくる。
しかし、男はそんな茉莉花の全てを見透かしているようにこう言った。
「そうですか、昨日は席に座ってお食事をされてましたよね?僕たちも昨日こちらで食事をさせていただいたんですよ」
「そ、そうでしたか。き、今日もお越しいただきありがとうございます」
「がんばってくださいね。僕たち、これからもちょくちょくきますので。ねぇ、アイさん」
急に自分へ振られたからか、それとも縄の跡を見られたことを悟ったからか、女性も多少、言葉に詰まった。
「え、ええ。そうですね。こちらのお料理は美味しいですから…」
「あ、ありがとうございます。では再度ご注文を…」
茉莉花はオーダーを繰り返し、深々と礼をして厨房へ戻った。
すると先輩の女性アルバイトから「大丈夫だった?」と声をかけられたが、「あの二人、やっぱり訳ありっぽくない?どんな話してた?」と、耳年増なことばかり聞かれた。
あの二人の料理ができるまでの間、茉莉花はお冷やを入れるためにホールを回りつつ耳をダンボにして会話を聞き取れないか神経を集中したものの、ひそひそ声で喋っているようで、なにも聞き取ることはできなかった。
「海老と蟹のクリームパスタ、上がったよ」
シェフの声で我に返った茉莉花は早速料理を運ぶと、男性の方から小さく声をかけられた。
「ありがとうございます。ところでお嬢さん、さっき、何か見ました?それに昨日、僕の顔を見て逃げるようにお店から出て行ったのは、どうしてですか?」
アイという女性もまずいと思ったのだろう、出したはずの腕をすぐに引っ込めた。
茉莉花は立ち上がる前に息を整え、自分に『しっかり!』と言い聞かせる。
「お嬢さん、大丈夫ですか?ちょっと顔色が優れないようですが…」
男の方が気を遣ってそう言った。
アブノーマルなプレイをした後、しかも跡目が完全に消えていないのだから、いわゆる事後も事後、そう時間も経っていないだろう。
昨日はここのトイレで、今日はラブホテルにでも行ったのだろうか。
また要らぬ妄想が茉莉花の頭の中を駆け巡る。
「いえ、大丈夫です。今日が初めてのアルバイトなので、ちょっと緊張してしまって」
とってつけたような言い訳だが、これが一番しっくりくる。
しかし、男はそんな茉莉花の全てを見透かしているようにこう言った。
「そうですか、昨日は席に座ってお食事をされてましたよね?僕たちも昨日こちらで食事をさせていただいたんですよ」
「そ、そうでしたか。き、今日もお越しいただきありがとうございます」
「がんばってくださいね。僕たち、これからもちょくちょくきますので。ねぇ、アイさん」
急に自分へ振られたからか、それとも縄の跡を見られたことを悟ったからか、女性も多少、言葉に詰まった。
「え、ええ。そうですね。こちらのお料理は美味しいですから…」
「あ、ありがとうございます。では再度ご注文を…」
茉莉花はオーダーを繰り返し、深々と礼をして厨房へ戻った。
すると先輩の女性アルバイトから「大丈夫だった?」と声をかけられたが、「あの二人、やっぱり訳ありっぽくない?どんな話してた?」と、耳年増なことばかり聞かれた。
あの二人の料理ができるまでの間、茉莉花はお冷やを入れるためにホールを回りつつ耳をダンボにして会話を聞き取れないか神経を集中したものの、ひそひそ声で喋っているようで、なにも聞き取ることはできなかった。
「海老と蟹のクリームパスタ、上がったよ」
シェフの声で我に返った茉莉花は早速料理を運ぶと、男性の方から小さく声をかけられた。
「ありがとうございます。ところでお嬢さん、さっき、何か見ました?それに昨日、僕の顔を見て逃げるようにお店から出て行ったのは、どうしてですか?」

