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第8章 新しい　夫婦生活

名残惜しそうに手を放し　隼人が運転席のドアを開け
陽子も助手席から降りて、トイレに向かった
トイレから戻り　併設の店の前に立つ隼人を見付け
駆け寄ると　手に持った二つの紙コップの一つを
差し出して来る

「　珈琲で良かったかな？　」

優しい眼差しに、哀しみを浮かべた笑顔を見せ
陽子の手を引き、駐車場の奥のベンチに
二人並んで座り、陽子は手に持った珈琲を一口
サービスエリアは小高い丘の上に設けられ
眼前は山の斜面　遠くに街の風景が見え
標高が高いのか、山の斜面の木々の所々に
赤や黄色に色を変えた樹が見える

隼人は黙って紙コップを傾け　前を向いたまま
口を閉ざし、陽子は、隼人が口を開くのを待った
隼人が洋子に顔を向けた時

「　美和さんに感謝しているは　」

隼人が怪訝な顔で陽子を見る

「　隼人と別れる積りで　美和さんに会いに行ったの　」

隼人の目が大きく広がる

「　行く前に電話入れて　お会いしたいと伝えた時
　　恐かった、何て言われるのか、断られたらどうしよう
　　そんな事考えて電話したの　美和さん普通に家の場所を
　　教えて呉れて　お部屋を訪ねたの　」