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想い人
第2章 私の想い人
「うえっ、そんなにこんもり⁈ 」
彩華先輩のメイク術に、思わずタメ口きいてしまう。

派手派手しい…いやいや…彩華先輩風の完璧メイクを施されていく私。

鏡に写る自分はまるで別人。

似合ってるのかな?

見慣れない顔に苦笑いしてしまう。


「ほら、マスカラ、たっぷりつけて!」
彩華先輩に渡されたマスカラ。

液が滴ってるよ⁉︎

ゴクッ
何故か生唾を飲み込む。

覚悟を決めてマスカラをまつ毛に近付けた。


「ストーップ!」

「へっ⁈ 」

マスカラを持つ手が掴まれ、間抜けな声を上げて顔を上げた。
見れば、息を切らした透也が私の腕を掴み上げている。

「え? 何興奮してるの?」

こんなに早く私の魅力にヤられたか?

「興奮してんじゃねぇよ! 美空が松岡にランチに誘われたって聞いたから……」

珍しく声を荒げる透也。

「うっ…うるさいなっ、それ断られたから!」

忌々しい事を蒸し返さないでよっ。

「は……」

私の腕を掴んだまま、透也はヘナヘナと脱力していった。


何よ?

ランチ断られたのが悲しいのか?

いや、悲しいのは私の方だしっ‼︎


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