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ただ一緒に居たいだけ
第17章 新しいカタチ

慎吾さんがキッチンでお湯を火に掛けて、
お風呂場から手を拭きながら戻ってきたので、
「お名前は?」と訊いた。
「バタバタしていて、まだ…。
あいつ、ヒステリックに喚いて、
一緒に考えようと言っても取り合ってくれなくて…」と言った。
「まあ!
お名前がまだないなんて、可哀想だわ。
えっと…男の子かしら?」と言うと、
慎吾さんが頷く。
「だったら、吾がつくお名前が良いかしら?
慎吾さん、パパなんだから、
ちょっと考えてみて?」
「えっ?」
「慎吾さんでしょ?
しょうごさんとかはどうかしら?
羽ばたくイメージで、翔吾さん?
それとも、内省的なイメージで、省吾さん?
呼びやすいお名前が良いかなって思うわ?
どう?
考えてみてね?
それまで、何か、良い呼び方、あるかな?
ベビちゃんとか?
天使ちゃんも可愛いかしら?」
隣に座って、
慎吾さんが肩を震わせて泣いている。
「やだ。
慎吾さん、父ちゃんになったんだから、
しっかりしないと!」と言うと、
「バチが当たったんだ」と泣き続ける。
「えっ?」
「酔っ払って、あいつと一回寝ただけだと。
それくらいで妊娠なんてと思って、
嫌がる美波さんにも無理矢理酷いことして…。
そしたら、あいつ、妊娠したって言ってきた。
堕ろせだなんて言えないし、
責任取って入籍したけど、
あいつ、全然妊婦らしくなくて、
止めても酒飲むし、外から帰ると煙草臭くて、
喧嘩ばかりしてた。
そしたら、この子は…こんなでさ」
「こんなでなんて、言わないで?
無事に生まれてきてくれたのよ?」
「そしたら、あいつ、
この子の顔見て、
『全然、可愛くない。
こんな子、欲しくなかった』って言って、
病院から消えたんだ。
独りで暮らせるわけ、ないから、
多分、オトコと一緒だよ。
そういう気配はあったし」
「そんな…」
「ちゃんとしようと、
フリーランスの仕事だけじゃなくて、
大学でも教えるようになったけど。
夏休み終わったら、
これだと、仕事も行けないな」と言うと、
「それもこれも、
酷いことした報いだよ。
美波さん、ごめん」と、
床を叩きながら泣いた。
お風呂場から手を拭きながら戻ってきたので、
「お名前は?」と訊いた。
「バタバタしていて、まだ…。
あいつ、ヒステリックに喚いて、
一緒に考えようと言っても取り合ってくれなくて…」と言った。
「まあ!
お名前がまだないなんて、可哀想だわ。
えっと…男の子かしら?」と言うと、
慎吾さんが頷く。
「だったら、吾がつくお名前が良いかしら?
慎吾さん、パパなんだから、
ちょっと考えてみて?」
「えっ?」
「慎吾さんでしょ?
しょうごさんとかはどうかしら?
羽ばたくイメージで、翔吾さん?
それとも、内省的なイメージで、省吾さん?
呼びやすいお名前が良いかなって思うわ?
どう?
考えてみてね?
それまで、何か、良い呼び方、あるかな?
ベビちゃんとか?
天使ちゃんも可愛いかしら?」
隣に座って、
慎吾さんが肩を震わせて泣いている。
「やだ。
慎吾さん、父ちゃんになったんだから、
しっかりしないと!」と言うと、
「バチが当たったんだ」と泣き続ける。
「えっ?」
「酔っ払って、あいつと一回寝ただけだと。
それくらいで妊娠なんてと思って、
嫌がる美波さんにも無理矢理酷いことして…。
そしたら、あいつ、妊娠したって言ってきた。
堕ろせだなんて言えないし、
責任取って入籍したけど、
あいつ、全然妊婦らしくなくて、
止めても酒飲むし、外から帰ると煙草臭くて、
喧嘩ばかりしてた。
そしたら、この子は…こんなでさ」
「こんなでなんて、言わないで?
無事に生まれてきてくれたのよ?」
「そしたら、あいつ、
この子の顔見て、
『全然、可愛くない。
こんな子、欲しくなかった』って言って、
病院から消えたんだ。
独りで暮らせるわけ、ないから、
多分、オトコと一緒だよ。
そういう気配はあったし」
「そんな…」
「ちゃんとしようと、
フリーランスの仕事だけじゃなくて、
大学でも教えるようになったけど。
夏休み終わったら、
これだと、仕事も行けないな」と言うと、
「それもこれも、
酷いことした報いだよ。
美波さん、ごめん」と、
床を叩きながら泣いた。

