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ただ一緒に居たいだけ
第15章 霧の中

テレビがなかったのは、
私にとっては幸いだったのかもしれないと後から思えた。
繰り返し、地震や津波の映像をニュースで観ていたら、
不安とストレスでかえっておかしくなっていたかもしれない。
2日目に偶然、立て続けになんとか電話が繋がった。
渉さんは歩いて帰宅出来て、
まだ、産休に入っていなかったメイちゃんも、
がっしりとした会社で一晩過ごしたけど無事だったと聞いて、
心から安堵した。
「お母さんは、大丈夫?
こっちに戻れば?
横浜だよね?」と言われて、
「耐震構造の建物だから、大丈夫よ?」と言った。
そして、繋がらなかったけど着信が残っていたのか、
健吾さんからの電話もあった。
震える声で、
「健吾さん?」と声にしただけで、
涙が出てしまう。
「メールに返信したけど、
返事がなくて…」と言われて、
「あ…。ニュースなんかを見てたら、
充電が切れてしまって…。
そのまま停電してたの」と説明した。
「無事なんだね?
心配したよ。
今、何処に?」
「ごめんなさい。
横浜です。
凄く怖くて…。
死んじゃうかもしれないと思ったら、
声が聴きたくて…会いたくて…」と言うと、
もう涙が止まらなかった。
「でも、会えないの。
会う資格がないから。
健吾さん、ありがとう。
元気になったから、大丈夫」
「こっちが大丈夫じゃないから。
心配で気が気じゃないよ?
まだ、電車、動いてないよね?
東名もダメか。
でも、なんとか会いに行くから。
違うな。
迎えに行くから、
住所、教えて?
頼む」
「…。
気持ちだけで嬉しいから。
健吾さん、ありがとう」
「渉くんにも住所、知らせてないって聞いたから、
本当に心配で。
押しかけたりしないから、
住所だけは教えて。
そうしないと、心配過ぎて何も出来ないから」
「あ…。
電池が切れそう。
後でショートメー…」
ここで電話が切れてしまった。
今は停電しているから、
電気が戻ってきたら充電して、
連絡しようと思った。
私にとっては幸いだったのかもしれないと後から思えた。
繰り返し、地震や津波の映像をニュースで観ていたら、
不安とストレスでかえっておかしくなっていたかもしれない。
2日目に偶然、立て続けになんとか電話が繋がった。
渉さんは歩いて帰宅出来て、
まだ、産休に入っていなかったメイちゃんも、
がっしりとした会社で一晩過ごしたけど無事だったと聞いて、
心から安堵した。
「お母さんは、大丈夫?
こっちに戻れば?
横浜だよね?」と言われて、
「耐震構造の建物だから、大丈夫よ?」と言った。
そして、繋がらなかったけど着信が残っていたのか、
健吾さんからの電話もあった。
震える声で、
「健吾さん?」と声にしただけで、
涙が出てしまう。
「メールに返信したけど、
返事がなくて…」と言われて、
「あ…。ニュースなんかを見てたら、
充電が切れてしまって…。
そのまま停電してたの」と説明した。
「無事なんだね?
心配したよ。
今、何処に?」
「ごめんなさい。
横浜です。
凄く怖くて…。
死んじゃうかもしれないと思ったら、
声が聴きたくて…会いたくて…」と言うと、
もう涙が止まらなかった。
「でも、会えないの。
会う資格がないから。
健吾さん、ありがとう。
元気になったから、大丈夫」
「こっちが大丈夫じゃないから。
心配で気が気じゃないよ?
まだ、電車、動いてないよね?
東名もダメか。
でも、なんとか会いに行くから。
違うな。
迎えに行くから、
住所、教えて?
頼む」
「…。
気持ちだけで嬉しいから。
健吾さん、ありがとう」
「渉くんにも住所、知らせてないって聞いたから、
本当に心配で。
押しかけたりしないから、
住所だけは教えて。
そうしないと、心配過ぎて何も出来ないから」
「あ…。
電池が切れそう。
後でショートメー…」
ここで電話が切れてしまった。
今は停電しているから、
電気が戻ってきたら充電して、
連絡しようと思った。

