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ただ一緒に居たいだけ
第15章 霧の中
渉さんの結婚式が終わったら、
何処か遠くに行って、
独りで出産して育てていこう。


幸い、蓄えはある。
クズのような浮気夫と離婚した時の慰謝料も手をつけていなかったし、
財産分与された不動産などの運用での収入もあった。


問題は、
私の年齢と、
父親の不在だけ。

お金でカバーして、
自分の最期の瞬間まで愛情を注ごう。


それが私の下した結論だった。




動けるうちに、出来ることからやろうと思って、
まずは会社に辞表を提出した。

突然のことで驚かれて、
引き抜きにでもあったのかと訝る人も居たようだった。


一人息子が結婚して独立するので、
ゆっくりしたいと考えてと説明した。

今後のことを訊かれて、
社員教育の傍らで、オーダー品を製作していたことを持ち出して、
のんびり刺繍やアクセサリーの製作をするつもりだと伝えると、
だったらアクセサリーのオーダーについては引き続きお願いしたいと言われた。

「ありがとうございます」とは言ったけど、
対応出来る自信はなかった。

ブライダルとなると、
打ち合わせも多くて時間との勝負になるから、
小さい子供を抱えてのワンオペで出来る気はしなかったから。



その次に、携帯を解約して、
新しい携帯を手配した。

そこには、渉さんの携帯だけ登録した。


そして、転居先を探した。
誰も知っている人が居ない場所。

海外も考えてみたけど、
高齢出産で私か子供に何かあるといけないので、
国内にしようと思った。


田舎だと、かえって目立ってしまうから、
関係が希薄で、
他人のことを気にしないような都会の方が溶け込みやすいと考えた。

車も運転しないから、
徒歩圏内に全てなんでも揃っているところ。



横浜か神戸にしようと思って、
最終的に横浜に決めた。


そして、少しずつ、私のモノを減らしたり送ったりしていって、
渉さんの結婚式の頃にはほぼ、家具以外の私物は無くなっていた。



結婚式の前夜、渉さんに、
「このマンションに2人で住むと良いわよ?
お母さんは念願の一人暮らしを満喫したいから!
貴方達の新婚旅行中に引っ越ししちゃうわね?」と言うと、
とてもびっくりされたけど、
素直な子なので、
「お母さん、これまでありがとう」と言って、
涙ぐんでいた。






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