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ただ一緒に居たいだけ
第13章 甘い夜
マンションのすぐ隣の喫茶店で、
モーニングというのを一緒に食べる。


お店の方が、
珍しそうに何度もお水を注ぎ足しに来るから、
可笑しくて笑ってしまった。


「女性と来るの、
初めてだからかな?」と、
健吾さんが笑った。


マンションに戻って、
歯磨きをしてから、キャリーバッグを健吾さんに持って貰って、
健吾さんの車で名古屋駅に向かった。


駅ナカの百貨店の、
この前、ネクタイを選んだエルメスに立ち寄って、
健吾さんが「スカーフ、見せてください」と言った。

同じスタッフの方が、
ネクタイをチラリと見て、
お揃い風の色柄のものを勧めると、

「うん。
これが良いかな?」と健吾さんが笑う。


「すぐ使うので、
箱も袋も要りません」と言って、
プライスタグも外して貰って、
フワリと首にスカーフを巻いた。


「奥様、スカーフのお取り扱いになれてらっしゃいますね?」と言われて、
健吾さんと顔を合わせて、
クスリと笑った。


お店を出て、私を優しく見つめながら、
「凄く似合ってるよ?」と健吾さんが言うので、
頬が紅くなってしまう。


「何かもう一つ、
記念になるもの、プレゼントしたいな?
スカーフだと、なんか、日常的だから…」と言うので、

「記念って?
誕生日はもう少し先ですよ?
ポッキーの日なのよね」と言うと、
耳元で、
「初めて愛し合った記念だよ?」と言うので紅くなってしまった。


「指輪とか、時計みたいに、
毎日身につける物がいいけど、
いきなりそんなもの、貰うの、
迷惑かな?」と言うので、

「そんなことないけど…。
だったら私もプレゼントしないとね?」と笑った。
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