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ただ一緒に居たいだけ
第13章 甘い夜

健吾さんはカルティエに私を連れて行くと、
「ちょっとした普段使いの指輪、
見せて貰えるかな?」と、近くのスタッフに声を掛ける。
まるで結婚指輪みたいなシンプルなリングや、
小さい石がついたもの、
定番のものをいくつかトレイに並べられる。
当たり前に私の左手の薬指に嵌めて、
健吾さんの方が楽しそうに選んでいる。
「美波さん、仕事の時は華美なもの、
つけられないんじゃないのかな?」と言って、
爪のないルビーが埋め込まれたシンプルな指輪を選んで、
「これなら大丈夫かな?」と笑う。
そして、
機械彫りで、
昨日の日付と、2人のイニシャルを急ぎで入れるよう頼んでくれる。
「だったら、私もプレゼント、選ばせてくださいね?」と言って、
カフスは普段、つけないと言うので、
ネクタイピンを選んだ。
健吾さんが指輪を嵌めてくれて、
私はそっとネクタイピンを挿した。
「ありがとう。
良い買い物が出来たよ?」とスタッフさんに言うと、
椅子を引いてくれて、
2人、手を繋いでお店を後にした。
「次は土曜日か。
明後日だね?
早く会いたいよ。
母に紹介するのも楽しみだけど、
認知症だからな…」と言った。
指輪をそっと撫でて、
「左手、嫌なら、
右手にしても良いからね?」と言って、
改札でギュッと手を握ってくれる。
キャリーバッグを渡されて、
手を振って別れた。
すぐに会えるのに、
やっぱり健吾さんは少し寂しそうな顔をして、
手を振ってくれた。
「ちょっとした普段使いの指輪、
見せて貰えるかな?」と、近くのスタッフに声を掛ける。
まるで結婚指輪みたいなシンプルなリングや、
小さい石がついたもの、
定番のものをいくつかトレイに並べられる。
当たり前に私の左手の薬指に嵌めて、
健吾さんの方が楽しそうに選んでいる。
「美波さん、仕事の時は華美なもの、
つけられないんじゃないのかな?」と言って、
爪のないルビーが埋め込まれたシンプルな指輪を選んで、
「これなら大丈夫かな?」と笑う。
そして、
機械彫りで、
昨日の日付と、2人のイニシャルを急ぎで入れるよう頼んでくれる。
「だったら、私もプレゼント、選ばせてくださいね?」と言って、
カフスは普段、つけないと言うので、
ネクタイピンを選んだ。
健吾さんが指輪を嵌めてくれて、
私はそっとネクタイピンを挿した。
「ありがとう。
良い買い物が出来たよ?」とスタッフさんに言うと、
椅子を引いてくれて、
2人、手を繋いでお店を後にした。
「次は土曜日か。
明後日だね?
早く会いたいよ。
母に紹介するのも楽しみだけど、
認知症だからな…」と言った。
指輪をそっと撫でて、
「左手、嫌なら、
右手にしても良いからね?」と言って、
改札でギュッと手を握ってくれる。
キャリーバッグを渡されて、
手を振って別れた。
すぐに会えるのに、
やっぱり健吾さんは少し寂しそうな顔をして、
手を振ってくれた。

