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ただ一緒に居たいだけ
第12章 お別れの筈なのに
「もしもし?
えっとね。
渉さんとメイちゃんが来てるのよ?」と言いながら電話に出る。


「そうなんだ。
体調は大丈夫?」


「大丈夫よ。
ありがとう」


「それじゃあ、
そっちに行ったらダメかな?」


「んー。
私は構わないけど?」


「2人で話、したいから…。
今度の週末は?
会える?」


「まだ、判らないけど、
連絡するね?」



電話はそれで終わった。


「美波さん、お兄ちゃんと仲が良いの?」


「えっ?」


「お父さんも、美波さんのこと、好きだよね?」


「やだ。
そんなこと…」


「先週だって、
具合悪そうだって、
お父さんもお兄ちゃんも、
飛んできたんでしょ?」と笑われる。


「そんなことより、メイちゃんのこと。
どうする?
どうしたい?
お父様に了承していただいて、
入籍と結婚式のこと、決めないとね?
それと、お仕事、どうするかもね」


「どうしたら良いのかな?
メイちゃんの実家に行って、
お嬢さんをくださいって言えば良いの?」


「んー。
実家っていっても、
マンションに引っ越しちゃって、
お父さん、独りで暮らしてるだけだよ?
住んでた家は、
思い出して辛いからって、
私が中学になる時、手放しちゃったの」


…だから、なんか、
あっさりとした何もないお部屋だったのねと思った。


「考えても仕方ないから、
電話しちゃう?」と私が言うと、
メイちゃんも、
「そうですね?」と言って笑った。


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