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ただ一緒に居たいだけ
第12章 お別れの筈なのに
帰宅して、食欲も湧かないので、
常備菜を作ったりしては粗熱を取ってタッパーに詰めていった。


慎吾さんから着信があったけど、
それに出る気にもなれなかった。


クッキーかケーキでも焼こうかなと思っていたら、
今度は渉さんから着信がある。


「なあに?」と出ると、

「話があるから、これから帰る。
家に居るよね?」と言われた。



渉さんは、メイちゃんと戻ってきた。


「2人揃ってどうしたの?」と言って、
コーヒーを出すと、
メイちゃんが少し困った顔をした。


「えっ?
あら?
ひょっとして?」と言うと、
渉さんが頷いた。


「まあ!
おめでとう!!」と言うと、
2人は少しびっくりした顔をした。



「えっ?
怒らないの?」と渉さんが言うから、

「どうして怒るの?
欲しくてもなかなか授からないヒトも多いのよ?
それに毎週、お泊まりしてれば、
そういうこともあるかなって。
でも、順番違うと、あれこれ言われるといけないし…。
入籍しちゃう?」と言うと、

「はぁ。良かった」と渉さんが安心した声を出した。


「でも、オトコとしては、
ちゃんと避妊してあげて、
気をつけるべきだったのよ?
メイちゃん、ごめんなさいね?」と言うと、
メイちゃんの方が頭を下げて言った。


「私のトコ、お母さんが婦人科系のがんで亡くなってるから、
怖くて、早くコドモ、欲しかったんです」と涙ぐんで言った。


「でも、お父さん、
堅物だから、許してくれないかも」と泣くので、

「そんなこと、ないんじゃない?
それこそ、喜んでくださるんじゃないかしら?
電話、してみる?」と言って携帯を手にすると、
慎吾さんからの着信が来てしまう。


「あら。
慎吾さんからだわ?」と言って、
無視する訳にもいかなくて、
そのまま電話に出た。
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