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揺れる心
第9章 星空の下、愛を確かめる

帰宅すると、また、
お隣さんやご近所さんがカレーを運んでくれる。
今日はナンではなくて、チャパティだった。
食事をして、チャイを飲んで歯磨きをする。
お風呂はなくて、
水瓶から手桶で水を汲んで掛けるか、
濡らしたタオルで拭くだけ。
髪も洗うのは大変。
ドライヤーもないし。
そんなことを思いながら、
「星、観てきますね?」と声を掛けて外に出ると、
慌てて陸也さんが追いかけてきた。
「あのさ、危ないから、1人で外に出ないで?
夜はダメ」
「やだ。
陸也さん、お父さんみたい」
「この国はね、
凄く親切で人懐こい人が多いけど、
逆に男尊女卑だったり、
女性を性の吐口にするような犯罪も多いんだよ。
だから、1人では…」
「はい!
陸パパ、判りました」と笑うと、
ポカンとしてから陸也さんも笑う。
「今度、ここにベンチか切り株、置いて貰おうか?
そしたら、外で座って星が観れるから」
「嬉しい。
陸也さん、ありがと」
「ベッドも狭いよね?
安眠出来る?」
「私は狭くないけど…
陸也さん、腕枕だと疲れちゃう?」
「んー。
疲れないけど、
まあ、困ることもあるかな?」
「困ること?」
「…まあ、良いよ。
それより、真理子さん、包帯巻くのもだけどさ、
なんか、凄く手馴れてたよね?」
「えっと…
私、医学部だったから…」
「えっ?そうなの?
なんか、文学部とかだと思った」
「海斗さんも同じこと、言ってた」
「そうか」
「私…血を見るのが怖くて…
実習の時、いつも倒れてたんです。
慣れるからって言われたけど、全然ダメで。
だったら、内科とかにすればって言われたけど、
結局、一通りするから、
そういう訳にもいかないし、
内科とかでも…
自分の見立てが間違えていて患者さんを殺しちゃったらとか思うと、
とても無理だと思って…。
そしたら父が、
嫌なこと、得意でないことを無理してやらなくて良いって言ってくれたから、
試験は受かったけど研修医もしないで、
そのまま結婚して専業主婦になったんです」
「そうだったんだ」
「だから、大学名は言っても、
学部は言わないようにしてたし」
「寒くなってきたね?
身体が冷えてきてる。
中に入ろうか?」と、
陸也さんは私をそっと立ち上がらせた。
お隣さんやご近所さんがカレーを運んでくれる。
今日はナンではなくて、チャパティだった。
食事をして、チャイを飲んで歯磨きをする。
お風呂はなくて、
水瓶から手桶で水を汲んで掛けるか、
濡らしたタオルで拭くだけ。
髪も洗うのは大変。
ドライヤーもないし。
そんなことを思いながら、
「星、観てきますね?」と声を掛けて外に出ると、
慌てて陸也さんが追いかけてきた。
「あのさ、危ないから、1人で外に出ないで?
夜はダメ」
「やだ。
陸也さん、お父さんみたい」
「この国はね、
凄く親切で人懐こい人が多いけど、
逆に男尊女卑だったり、
女性を性の吐口にするような犯罪も多いんだよ。
だから、1人では…」
「はい!
陸パパ、判りました」と笑うと、
ポカンとしてから陸也さんも笑う。
「今度、ここにベンチか切り株、置いて貰おうか?
そしたら、外で座って星が観れるから」
「嬉しい。
陸也さん、ありがと」
「ベッドも狭いよね?
安眠出来る?」
「私は狭くないけど…
陸也さん、腕枕だと疲れちゃう?」
「んー。
疲れないけど、
まあ、困ることもあるかな?」
「困ること?」
「…まあ、良いよ。
それより、真理子さん、包帯巻くのもだけどさ、
なんか、凄く手馴れてたよね?」
「えっと…
私、医学部だったから…」
「えっ?そうなの?
なんか、文学部とかだと思った」
「海斗さんも同じこと、言ってた」
「そうか」
「私…血を見るのが怖くて…
実習の時、いつも倒れてたんです。
慣れるからって言われたけど、全然ダメで。
だったら、内科とかにすればって言われたけど、
結局、一通りするから、
そういう訳にもいかないし、
内科とかでも…
自分の見立てが間違えていて患者さんを殺しちゃったらとか思うと、
とても無理だと思って…。
そしたら父が、
嫌なこと、得意でないことを無理してやらなくて良いって言ってくれたから、
試験は受かったけど研修医もしないで、
そのまま結婚して専業主婦になったんです」
「そうだったんだ」
「だから、大学名は言っても、
学部は言わないようにしてたし」
「寒くなってきたね?
身体が冷えてきてる。
中に入ろうか?」と、
陸也さんは私をそっと立ち上がらせた。

