この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第16章 誕生祭 ~舞踏会の華たち~ (後編)

ロータスとマリーがフロアへと行くと、気まずい空気が流れる。共の貴族の令嬢たちは立ち去ることなくまだそこにいたからだ。
サクナは空気に絶えきれずフロアに目を移す。
フロアには沢山の紳士淑女が、ダンスを楽しんでいる。どんなに人がいてもルカがいる場所はひと目でわかってしまう。
ひとりだけ白の盛装ということもあるが。
ルカが優美に踊る姿をサクナは遠くからホぅーっと見蕩れるように眺めていた。
「姫様、この度はおめでとうございます」
驚くべきことか、令嬢たちは祝辞を述べた。
サクナは再び令嬢たちに視線を戻す。
「今までの無礼はお許しください……私どもも、縦社会というものがありまして」
それは、マリーに対してか、それともミモリなのかはわからないが、彼女たちは不本意ながらそうしざる負えなかったと謝罪した。
「姫様、これからは宜しくお願い致します」
その謝罪は真意かはわからないが令嬢たちにも色々大変な事情があるのだろう。
「はい、こちらこそ」
そうサクナが返事をしたのも真意ではない。
淑女として振舞っただけだ。

