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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第16章 誕生祭 ~舞踏会の華たち~ (後編)

「ロータス様、姫様。御機嫌よう」
ロータスと話していると、声をかけてきたのはマリーだった。相変わらず、貴族の令嬢を共のように連れての登場。
「……誰だっけ?」
「お忘れですか? マリー・ブラットです」
マリーは、サクナが見たことのない笑顔で挨拶をした。淑女らしくドレスの裾を少しあげ会釈をする。
「……ああ、ブラット伯爵の……」
「ふふ、今度はお忘れなさらないで下さいね」
まるで別人。
女ってこわい……
「ロータス様、宜しければ踊って頂けませんか?」
「勿論、レディの誘いを断るわけにはいかない」
ロータスは、マリーの手を取りサクナの方を見た。
「サクナ姫、それじゃ。また後でな」
サクナはロータスの背中を見ながら、処世術の大切さを思い知らされた。

