この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第16章 誕生祭 ~舞踏会の華たち~ (後編)

水辺の宮殿は、晩餐会や舞踏会などが行われる公式行事の為の宮殿。
床や壁に白い大理石、天井には天界画が描かれ目を奪われるほどの蔦や花飾りのクリスタルシャンデリアがいくつも下がっている。
壁には湖と庭園が見渡せる大きなガラス窓。
大広間には国中の王族や貴族たちが集まってもなおゆとりある空間。
リキマシア国で最も大きな広間である。
「陛下のおなりー」
軍服をきた騎士団が声を上げると、トランペットの音が大広間に響く。
戸口より、次々と王族や貴族たちは端に寄り通路をあけて深くお辞儀をする。
ルカにエスコートされながらサクナは中央の赤い絨毯の上を歩く。
大広間に一段高い場所に設置された王座にサクナを座らせ、そのとなりにルカも座る。
煌びやかな大広間に負けぬ着飾った紳士淑女の視線が陛下に集まる。
男性は上質な黒のテールコート。そのとなりに様々な彩を魅せるドレスを着た女性たちはその場に咲き誇る花のように美しい。
楽団たちによる、曲が流れ出すと皆は再び談笑をしだす。
サクナは視線を感じつつも、ふーっと息を吐きだし緊張を和らげようとした。

