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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第16章 誕生祭 ~舞踏会の華たち~ (後編)

「陛下、皆がお待ちです。どうぞフロアへ」
宰相が陛下に話しかけ、ルカは立ち上がりサクナの目の前で膝まつき、手を差し出す。
「姫、踊って頂けますか?」
馴れない呼び名、どの角度から見ても隙のない端正な出立ち。ブロンドの髪をきっちりとまとめ見上げる蒼い瞳はクリスタルの光を浴びキラキラと眩く麗しき陛下の姿は誰をも虜にする。
サクナが頷くと、ニコッと優しく微笑む自分だけに向ける馴染みある笑顔に胸が高鳴ってしまう。
サクナは少し緊張しながらも中指をそっとルカ手のひらに添えるように置く。
ルカは少しかがみ手の甲に口づけをする。そして優しく指を包みサクナの手のひらにキスをし自身の左胸に当てた。
この国の誓いの証、敬愛と懇願、変わらぬ愛を誓う作法である。
ひと呼吸おき、ルカは立ち上がりサクナをフロアへエスコートする。
ゆるりと段を確かめるように脚を下ろし、皆が注目するのか大広間の曲がワルツに変わる。
サクナがずっとダンスを練習していた曲だ。
互いに向き合い、サクナはドレスを持ち上げルカに礼をする。
「ゆっくりでいいから」
ルカはやんわりと腰に手を回す、サクナも左手をルカの胸に手を添える。その薬指にはルカのくれた指輪がキラっと輝いていた。

