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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第16章 誕生祭 ~舞踏会の華たち~ (後編)

壁際でこちらを見ている侍女たちがクスクスと笑っている。
前から思っていたのだが、ルカは人目を気にしないのだろか…………
「姫様、陛下の仰っしゃるとおりですよ。もう少し陛下へ寄り添うべきかと」
「えっ、私ですか?」
「ええ、仲睦まじくされるのは国の安泰を意味しますから。もちろん紳士淑女の範囲で、ですが」
嗜められたのはサクナの方だった。
淑女の道はやはり遠い…………
「そんなに深く考えなくていい、サクは照れ屋だからな。むしろ初々しくていいんじゃない?」
「お言葉ですが……陛下はもう少し自粛するべきかと…………」
「俺も怒られちゃった」
相変わらずのルカにサクナも自然と緊張がほぐれてゆく。
リキマシア国のこれからの事を考えると和んでる場合ではない気もするが。
それと同時にルカはいつもこんな不安を抱えつつ、それでも明るく接していたのだと知る。
周りの人たちに不安を与えないために、毅然とした態度で陛下としての貫禄と優しさを見せる。

