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シャイニーストッキング
第9章 絡まるストッキング3      大原本部長と佐々木ゆかり部長
 102 意外な…

 今夜の律子もよく話しをしてくれる…

 やはりこんな二人の夜はいつもの銀座のクラブで見せる顔とはもちろん全然違うのだ。
 本当の、普通の若い女の子の様相と感覚で話をしてくるのである。

 またそれが、私の中のオジサン心をくすぐってくるのであった。

 これが律子の本当の顔なんだろうな…

 私はそんな、よく食べ、よく話す律子の顔を見ながらそう思っていたのだ。
 

 ブー、ブー、ブー、ブー…
 すると、珍しく律子の携帯が着信した。

「あっ、ママからだわ…」
 私は目で電話どうぞ、と合図する。
 すると律子は電話を手に席を立つ。

 ママからの電話か、山崎専務と一緒の筈なのだが何かあったのかな…
 私は一瞬だけそう思ったのだが考え過ぎであろうと思ったのだ。

 そしてふと、さっきのラウンジでの山崎専務の様子が思い返され、脳裏に浮かんできたのである。
 そして判明した、決してスパイではないのだが、自然に山崎専務のスパイ的な役割をしてしまっていたであろう『新規事業プロジェクト』内部の人物の顔が浮かんできたのであった。

 それは、意外な人物であった…



 さっきの赤坂のラウンジでの会話である…


「ああ、アレか…」
 山崎専務が意味あり気な声で呟いた。

「は、はい…」
 私は頷く。

「あのコールセンター部の主任にした彼女のことだな…」
 山崎専務は私の目の意味を察知したようである。

「はい…」

「問題あるのか…」

「いえ、問題は…」
 ない…
 ですが…

「なるほどな、誰からの情報か?…ということかな…」

「あ、はい…」
 私は頷く。

「私の手の内を見せろ…と」

「あ、いや…」
 すると山崎専務は腕を組み、少し考える。

「まあ、いいか…」
 そしてそう呟いた。

「……………」

「大原くんだけはいいか…」
 私の目を見つめてくる。 
 その目はいつもより厳しい、鋭い眼差しであった。

 そしてその山崎専務の目が

 まさか、裏切りはしないだろう…

 そう云ってきているようであったのだ。

 ゴクリ…

 私は思わず唾を飲み込み、目を見つめ返す、そして山崎専務の新たな迫力に少し呑まれてしまうのだ。

「ま、いいか、大原くんならな…」 
 そして、ふと、苦笑いをしながら話しをしてきたのである。

 それは…




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