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シャイニーストッキング
第14章 絡まるストッキング8        部長佐々木ゆかり
 248 今日一日

 だからなのか…

 だから杉山くんをかわいいと想ってしまうのか…

 かわいいと想わせる正体なのか…

 だからガツンと言えないのか…

 そう『ビッケ』はわたしが生まれる前から我が家に飼われていたから、わたしにとっては頼りがいのあった姉であり、かわいい妹であり…
 と、わたしの成長と共に存在感を増していた大切なペット、いや、家族であったのだ。

 その『ビッケ』の喜怒哀楽を現す目に杉山くんの目が似ているのである、いや、そのものであった…

 だからつい…

 甘くなってしまうんだわ…

 ガツンと言えないんだわ…

 そう、わたしは『ビッケ』を溺愛していたから、そしてその『ビッケ』はとてもいい子であったから…

 杉山くんをかわいいと思わせる正体が解ったのである。

 そうか、そういうことか…

 なんとなく、この前からモヤモヤとしていたわだかまりの想いの正体が解ったのだ。
 わたしはそんな事を想い、考えながらも、携帯電話を握り締め、まだ部長室のデスクの陰にしゃがんで座っていた。

 なんとなく、疲れてしまったのである…

 それに加えて、そんな杉山くんの疑問の想いが氷解した途端に、一気に疲れが出てきてしまったのだ。

 今日も朝から色々な事があった…

 昨夜の同性である美冴さんを意識しての自慰行為の余韻を朝から引きずって、電車内で見かけた美人なお姉さんのキスマークに突然、欲情のスイッチが入ってしまって、プチパニックに陥ってしまった事…

 せっかく立ち直ったのに今度は、あの黒歴史の忘れたい存在である俳優『三山蓮太郎』からの、信じられない内容の誘いの電話の事…

 そしてその後に、彼、大原本部長との電話での会話で感極まってしまい、このわたしが涙を堪え切れずに泣いてしまった事…

 紆余曲折はあったのだが、突然の、部下である杉山くん、鈴木くんカップルとの食事での様々な想いと出来事…

 からの、流れの延長での杉山くんとの事…
 本当に色々あった。

 特に杉山くんとの事に関しては、昨日までからには全く予想できない流れと展開であるのだ…

 そんな激動ともいえる出来事に、わたしはすっかり疲れが噴き出してしまったのである…

 そして…

 そのせいなのか…

 少しだけ、居眠りをしてしまう…

 いや、寝落ちしてしまったのであった…




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