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シャイニーストッキング
第13章 絡まるストッキング7      本部長大原浩一
 38 ガキであった頃

「きよっぺかぁ…懐かしいわぁ」
「こ、コッペだって…懐かしいよ」
 何とか言い返す。

「ええ、だってまさくんもそう呼んでるじゃん」
「いや、女の子にコッペって呼ばせたのはきよっぺだけだから…」
「ええっ、そうなのっ、知らなかったぁ」
「うん、そう」
「うわぁ、27年越しの真実だわぁ」
「そんな大袈裟な…」
「ええー、大袈裟なんかじゃないわよぉ
 こんなこと、あの頃言ってくれなかったじゃん」
「え、そうだっけ?」
「そうよ、言ってないよ」
 すっかり彼女のペースに引っ張られ、少し心が落ち着いてきた。

 昔からそうだった…

 付き合い初めから、いや、付き合うきっかけから全てがそうだったのだ…
 いつもこうして引っ張ってくれて、リードしてくれて…
 そうなのだ。

 まだ幼く、男としては全然成長できていない、まるでガキの自分を、こうして優しく導き、引っ張ってくれていた…
 あの頃の私達は、そんな付き合いであったのだ。
 だが、それがまだ男女のことなど、いや、野球のこと以外に何も知らない自分にはその彼女の引っ張っりがものすごく心地よかったのである。

 しかしある程度、男として成長してきた時期に、今度はそれが逆にウザくなってしまったのだ…

 いや、今、思い返せばまるでガキの反抗期と同じであった…

 違う、ガキそのものだったのである…

 当時は本当にまだまだ子供で、ガキであったのだ。

 彼女の良さ、魅力なんて全くわからなかったのである…


 そして彼女の良さを、優しさを、その魅力を改めて実感したのが30代になった頃であったのだ。

 あるきっかけで、ふと、昔を思い返し、懐古した時に、改めて彼女の魅力を理解できた。

 そしてその瞬間に、私は愕然としてしまい、暫くは己の未熟さに後悔の想いが止まらなかった…
 そんな時期があったのである。

 総じて全ては青春の過ちであり、甘さであり、甘酸っぱい思い出といえる…

 そして、一つだけ、ひとつだけ心残りがあったのだ…






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