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シャイニーストッキング
第12章 絡まるストッキング6      和哉と美冴2
 91 再びの…

 「えっ…」

 僕は慌てて、帰ると告げる美冴さんの手を握った。
 すると美冴さんは、僕の目を見つめてくる。
 そして僕には、その目が揺れている様に見えていた。

 まだ、チャンスはあるかも…
 その揺れている様な目を見て、そう僕は思い

 粘れば…なんとかなるかも…

 そして握る手に力を込めた。

 あっ、目が泳いでいる…

 そうか、帰るかどうか、まだ、迷っているんだ…

 よしっ、粘れるぞ…

 僕は、今夜を逃したらもうチャンスは二度と無い、そう思い、粘る事にする。

 どうすればいいか…
 そう必死に思いを巡らせながら、握っている手に力を込め、離さないアピールをし、美冴さんを見つめていく。

「か、和哉ぁ…」
 すると美冴さんは、本当に迷っている様な震える声で僕の名前を呼んできた。

 あっ、そうだ、ストッキングだ…

 また、さっきみたいにストッキング脚に触れさえすれば…

 絶対になんとかなるはずだ…

 僕はそう思い、玄関の方を向く美冴さんの手を引っ張ったのだ。

 ベッドに倒しちゃえば、なんとかなるかも…

「あん、か、かずやぁ…」
 すると美冴さんが軽くよろけた。

 よしっ、今だ…
 

 ♬♩♪♩♪♬♪
 ブッ、ブッ、ブッ…

「あっ…」

 その時であった…

 今度は『夢の国』のキャラクターである、蜂蜜が大好きな黄色い太ったクマのテーマソングが短く鳴ったのだ。

「あっ、うっ…」
 僕の手の力が一瞬にして緩み、抜けていく。

 あっ、しまった、まただ…

 電源を切っておくべきだった…

 まさか、ダメ押しでメールが来るとは…
 これはメール着信音のメロディであった。

 それも真実専用のメールのメロディなのである…



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