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第12章 絡まるストッキング6　　　　　　和哉と美冴2

　47　過去の酒の失敗

「ふうぅ、やっぱり少し調子に乗って飲み過ぎたみたい」
　わたしは席に戻るなりそう話しを切り出した。
　和哉は未だにオスの欲情の目の光りが輝いてはいたのだが、席に戻るなりこの話しの切り出しに、上手く彼の機先を逸らす事が出来たようであったのだ。

「そ、そうなんですか…」
　和哉はそんな感じでわたしのこの話しの切り出しに応える。

　そして、その目の輝きが一瞬曇って見えたのだ…


「うん、お酒は好きなんだけどね…強くはないのよね」
　わたしはそう続けて話していく。

「あ、僕もです」
　それはさっきのたった一杯の白ワインを飲んだ直後の様子から分かっていた。

「サークルとか入ってないからコンパなんていかないのかぁ…」　
　わたしは敢えて大学生活の話しをしていく。

「あ、でも…、入学して直ぐに、とある某サークルの新歓コンパに無理矢理連れていかれて…一度だけ、吐くほどに、メチャクチャに潰れるほど飲まされた事がありました」
　和哉は昔を思い出すかの様に、やや斜め上を見つめながらそう話しをしてきたのである。

　そして、どうやら和哉の熱い、オスの欲情の想いを、上手く逸らす事が出来た様であったのだ…
　
「あらぁ、そうなんだぁ…」
　思わず安堵の意を込める。
　
「吐くほどかぁ…」
　そして改めてそう呟いたのだ。


「はい…酔い潰れてしまい、気付いた時は店の前でゲロまみれになって寝ていました」
　和哉はその当時を一瞬思い出したのだろう、苦笑いをしながらそう告白してきたのである。

「へぇ、そうなんだぁ…」
「はい、それからはしばらくお酒が怖くなって、飲みませんでしたよ」

　あら、かわいい…

「ふふ、やっぱり和哉はかわいいね」
　わたしは改めて、心からそう思ったのだ。
　すると和哉はドキッとした様な、照れ笑いを浮かべてきたのである。

　よしっ、上手く機先を逸らせられたみたいだ…

　目の輝きが落ち着いている様に見えたのだ。

　そして再び昔からの憧憬の目の輝きに変わった、いや、戻ったようである…