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シャイニーストッキング
第12章 絡まるストッキング6      和哉と美冴2
 45 焼けぼっくいに火…

 だから本当は和哉と会うと決めた時から、そんな危険性の可能性を一瞬想い浮かべ、完全な否定はできなかったのだ。

 だが、それはあり得ない…
 と、自分自身に言い聞かせ、そしてその想いを心の、いや、脳裏の片隅にしまったのであった。

 だから、ある程度は予想、予測できた筈なのに…
 最初の和哉のキョドっていた様子にすっかり油断してしまったのだと思われる。

 だからアナタは甘々なのよ…

 和哉はあれから五年経っている、そして22歳の青年期を迎えている男なのだ。
 ある意味、男盛りの年齢ともいえる齢なのである。

 五年間もわたしを想い焦がれていたんだ、そんな簡単にスッキリできる筈がないんだ…

 油断し過ぎよ、美冴…

 鏡の中の自分がそう言い切った。

 どうしようか…

 本当はもう電話番号はお互いに分かっているし、わたしと和哉の間には甥っ子の康っちゃんという共通の存在がいるのも認識されている。
 だからとりあえず、ここではサクッと再会を果たし、お互いのアンバランスをアピールし、和哉に対して格差を植え付けてひとまず終わりにする。
 もしもその後、しつこく連絡が来るようであれば、軽く和哉をかわしながら時間を掛けて流して行ければ…
 的な事は、一応考えてはいた。

 甥っ子の康っちゃんがバイトで世話にもなっているし、いきなり冷たくもしたくはなかった…

 だが、和哉のさっきのあのオスの、男の欲情の目を見てしまったから、そんな考えは甘いのではないのか…
 とも、想いが浮かんでしまっていたのである。

 決して和哉に対して嫌悪感とかは感じてはいない。

 ただ、今更なのである…

 今更、再び、『焼けぼっくいに火…』的な事は、そしてまたあの過去の関係を繰り返すつもりは全くないし、かといってわたしには新たに出来た健太という存在が今はあるのだ。

 今更、和哉とどうこうという想いはあり得ないのである…

 だが、和哉にしてみれば、未練たっぷりな筈であり、いや違うか、一度は五年間の想いを達成できたし、本当にスッキリできた…
 そんな顔を一度は確実にしたのである。

 だがその後、きっと和哉の心の中で何かが変わった、何か変化が起こったのだろう…
 だからこそのあの欲情のオスの目なのであろう。

 高嶺の花アピールが仇になってしまったのか…



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