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シャイニーストッキング
第12章 絡まるストッキング6      和哉と美冴2
 36 人生の岐路の道標

「ああ、やっぱり先生かぁ、先生がいいのかぁ…」
 美冴さんに言われて、僕は思わずそう呟いたのである。

「うん、奥山和哉先生…
 案外、似合ってるかなってぇ…」
 その美冴さんの言葉にドキッとする。

「実は、本当に教育実習楽しかったんです…
 その時、あ、僕は、意外に教師が向いてるのかも…って思ったんですよ」
 僕は明るくそう話した。
 だが、その思いは本当なのだ、本当に楽しかったのである。

 教師か…

 やはり美冴さんは教師を薦めてきた…

 ある程度、そう言うだろうとは予想はしていたのだが…
 その通りであったのだ。

 先生かぁ…

 奥山和哉先生かぁ…

 よしっ、とりあえずこれからは、教師を目指すか…

 そして、その答えをはっきりと思い浮かべたら、なんか、ずうっと心の中にモヤっとしていたプレッシャーというべき存在が、いや、心の重し、重りが、外れたかの様に感じ、軽くなってきていたのである。

 すると、美冴さんが僕を見つめてきた。
 その顔がなんとなくだが、さっきより更に柔らかくなった感じがしてくる。

「美冴さん、ありがとうございます」
 僕はそんな彼女の顔を見たら、思わず感謝の言葉を言っていた。

「えっ、そんな、ありがとうだなんて…
 こちらこそだわ…」

「いえ…、本当に美冴さんと再会したいという五年間の想いが遂げられたし…
 そして、この先の将来の、人生の最初の岐路の道標を指し示してくれたんです…
 感謝しかないです…」
 これは本気の言葉である。

 本当に感謝しかない…

「そ、そんなぁ…」
 すると、美冴さんが逆に恐縮した感じで応えてくる。

「ああーっ、これで、なんかぁ、本当にスッキリしたぁ」
 本当にスッキリできたのである、そして心がかなり軽くなった感じであった。

 そして、ようやく心にゆとりと余裕が生まれ、二時間近く経った今、今更ながら、美冴さんの顔をハッキリと見つめられる様になったのだ。

 本当に美しい、綺麗だ…

 そしてその美しさは、全く、この五年間という時間の流れを感じさせないのである。

 いや、むしろあの頃より若く見えるのだ…







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